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I'll make love to you
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しおりを挟むみのりさんが、仕事を再開した。
ただ。
「先生のペースでは月一掲載はどうかと。今は育児もされてらっしゃるんでなるべくプレッシャーにならない様に隔月で再開しましょう」
と、松本さんが言ったらしい。
みのりさんの事だから、毎月締め切りがあるんじゃ切羽詰って混乱すると思う。
松本さんはさすがにみのりさんの事、わかってるよな。
俺は特に反対はしねえけど。
無理はしないでやってくれたら良い。
小説を書く事はみのりさんの大事な一部なんだから、書きたい気持ちは理解してる。
でも、食事の時間は一緒に摂る事、徹夜とかはしない事。
生活のリズムと身体に悪い事はしない。
そう約束した。
みのりさんは書くペースが遅いから、と言うか。お尻に火がつかないとペースが上げられない人だから、隔月の余裕もらってもやっぱり締め切り前は追い詰められる。
俺の休みに仕事部屋に篭るのもしょうがねえ。
みのりさんが仕事としてやってる以上、締め切り守んねえとたくさんの人に迷惑かかるんだし、俺はみのりさんの事助けるって決めてるし。
みいくんも俺と二人で大人しく遊べるようになったし。
でも、そろそろ休憩してもいいんじゃないかな。バナナのシフォンケーキも焼けたし。
「みいくん、おやつだよお。ママ呼びに行こうねえ」
みいくんと手繋いで、仕事部屋の前まで。
「みのりさん、おやつだよお」
「おやちゅよー」
手のひらでドア叩きながらみいくんが言うけど、返事が無い。
こっそりドア開けたら。
なんの曲聴いてんだか、ヘッドフォンつけて踊り狂ってるみのりさん。
「よし来たっ!ゲット・ザ・ファンク・アウトじゃっ!ヌーノ最高っ!」
クリエイティブな仕事だから、創作のためには俺にはわかんねえ気分転換とか、そう言うのも必要なのかも知んねえ。
「おーし!ヌーノ、ソロ来たっ!この曲のヌーノが最高っ!」
踊り狂ってるけど、なんか頭ん中で発想とかに繋がるのかも知んねえ。
「はっ!冬の大阪城は傾く陽と共に寒さを増し…よしっ!」
そう言ったかと思ったら、パソコンに向かってキーボード打ち出す。
クリエイティブだから。そんなもんなんだろう。
「みいくん、ママ忙しいからパパとケーキ食べようねえ」
「みーくん、たべよーねー」
みのりさんの分は取って置いてあげよう。
「みいくん、飛行機だよお」
身体を水平に抱えてあげると。
「きゃあっ!」
みいくんが喜ぶ。
父と息子の休日も、まあ、良いよな。
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