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I'll make love to you
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しおりを挟む「たうー?」
「たうじゃないよ、みいくん。パパでしょ」
なんでか、パパって言う言葉をなかなか言わない。
みのりさんが尊、って呼ぶからかも知れねえけど。
パパとママなんだけど俺としてはいつまでも、俺の可愛いみのりさん、でいて欲しいのもあるから名前で呼びたいし、呼んで欲しい。
「で、なんなの?なにがあったの?」
俺が言ったらみのりさんがにやにやしながら、俺の向かい側に少し離れて座った。
「殿!殿の華麗なる御技を御披露下さいませ」
うやうやしくお辞儀するみのりさん。なにごっごだ。
「殿、こちらにおいでませ」
「あうっ、まあまー!」
俺の膝から一回降りて、みいくんはテーブルに掴まり立ちして、みのりさんの方向いて、一人でたっちして。
一歩、二歩、三歩、四歩めでみのりさんの手の中。
みいくんが一人で歩くなんて、ほんのちょっとだけど、あんなにちっちゃかったみいくんが歩くなんて。
俺はもう、言葉にならないくらいに感動して。
みのりさんの膝できゃっきゃ言ってるみいくん見て。
またちょっと感動した。
この頃のみいくんは、おしゃべりも活発になった。
「こえー?なにー?」
テーブルの上見てはしゃぐ。
「これはねえ、なにかなあ?」
みのりさんが皿をみいくんの前に置いてあげる。
「はい、これ。なにかなあ?もぐもぐしてみようか」
フォークに一切れ刺して、みいくんに渡すと自分で口に入れる。
「美味しいねえ」
「あんま!おいしいねー」
ねー、のところはみのりさんとみいくん、二人で首かしげるのがお約束。
俺の特製ホットケーキは、みいくんもみのりさんもお気に入り。
みいくんはもう、一人で食べたがるからホットケーキはあらかじめ小さく切ってある。
上手にフォークが刺せなかったりするけど、みのりさんはフォークが刺さるまでのんびり見てる。やっと刺さってみいくんが口に入れたら。
「美味しいねえ」
「しいねー」
また二人で首かしげて笑う。
オモチャも積み木だとか知育オモチャで遊ぶ様になった。
木で出来たトラックのオモチャで、荷台部分が型はめのパズルみてえになってるのでよく遊んでる。
桂木のヤロウがプレゼントだとか言って送ってきたのが気に入らねえが、みいくんがオモチャ気に入ってるからまあ、良しとしてやる。
「ままー!」
みいくんは、たいていはそう言いながらみのりさんの後を追いかける。
歩けるようになったから、行動範囲が広がってちょっと危ねえから階段のとこにはゲート取り付けたり。そしたら。
「おお、ロミオっ!あなたはなぜロミオなのっ」
「やあー!ままっ、こっち!」
階段の上のゲートまで行って、みいくんを下のゲートのとこに置いて、みのりさんが一人シェークスピアごっこしたりしてる。なにしてんだ。
「みいくん、パパとお風呂入ろうねえ」
夜は、俺と一緒に風呂入るみいくん。
ずっとみのりさんが抱っこして連れて来てたけど、歩きたがるから、俺と手繋いで風呂まで歩く。
小さい身体で、ちょこちょこ歩くのが可愛い。
顔とかな、俺の小さい頃の写真とそっくりになってきたんだよな。
母さんと俺も似てるけど、満も俺そっくりで俺の遺伝子ってそんなに強いのかと変に感心してしまう。
「みいくんは、ママが好きですかー?」
とか聞いたら。
「あーいっ!」
元気に手あげる。
「ママはみいくんのママだけど、みのりさんはパパのだからねえ」
「みーきゅんのっ!」
て、わかってるとは思えねえけど、風呂の中でみのりさんの取り合いしてるのは、みのりさんは知らない。
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