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I'll make love to you
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しおりを挟むみいくんはみのりさんと離れるのが初めてだから。
「うっにゃあ!うがあんっ!まあまーっ!!」
やっぱ、泣くよな。
母さんに抱っこされて、一生懸命みのりさんに手伸ばしてた。
あんまり泣くからやっぱ連れて行こうかな、と思ったけど。
「はいはい、みいくん。パパとママはお出かけでしゅからねえ。いい子してようねえ。ほら、ばいばい」
意外と、母性が蘇ったのか母さんが上手にあやして。
「大丈夫だから行ってらっしゃい」
ガレージで車のドア開けようとする頃には泣き声は聞こえなくなった。
「みいくん大丈夫かなあ」
みのりさんも心配してたけど。
「無理だと思ったら母さんの方から電話してくるんじゃない?それになんかあったら電話する様に言ってあるし」
俺もまあ、ちょっとは不安はあるけど。
みのりさんと二人きりになるのって、すんげ久々だし。
俺としては夕方まで何事も無く過ぎて欲しい。
博物館行って、昼メシ食って、それから夕方まで二人きりの時間の予定。
車の中で、運転しながら話しかけてもみのりさんが返事しなくなった。
信号待ちで助手席見たら、膝にノートとプリントアウトしたらしい紙の束広げて、これはどうやら仕事モードになってるな、とは思った。
博物館についたら、そんなに大々的な展示じゃないのか、そんなに人は多くない。
「むう。写真が撮れたら…」
ぶつぶつ言いながら、みのりさんは一つ一つの刀をじっくり見ていく。
「刀は、一つ、やなくて一振り」
みのりさんに注意された。
久しぶりだから手繋ごうと思ったら、みのりさんはケースに両手ついて、中腰になったり上から見たり、横から見たり。
ちょっと、怪しい人に見える。
一つ、じゃなくて一振り見るのにたっぷり二十分はかける。
何十本、ってあるのに。
「うぬぬ。ケースが邪魔だ」
なんか、巻物広げて展示してあるケースのところじゃ、ケースに顔くっつくくれえにして中の巻物熱心に見るし。
だから、怪しい人みたいだってば。
ようやく見終わった頃には、昼はとっくに過ぎてて。
「お腹すいた」
そりゃ、そうだろ。もう二時だし。
車で移動して、海が見える公園まで来た。
「お昼ご飯は?」
みのりさんが不思議そうな顔する。
「うん、お弁当にしようね」
「え?いつ作ったんっ!?」
なんで引き気味なんだよ。
朝メシ作る前に、昨日の内に焼いておいたライ麦食パンで野菜たっぷりのサンドイッチ作って、おかずは俺の手作りミートボール。
ま、ちょっとピクニック気分。
「美味しい?」
「うん」
みのりさんはたまには外食したかったかも知れねえけど、そこは俺も独身の時に出来なかった、彼女とお弁当、がしてみたかったし。
通常は彼女がお弁当作るだろうけど。
海見ながらお弁当食べて。おっと、ここでそんなに時間かけてらんねえ。
みのりさん乗せて、俺は車を走らせる。
「はあ?なんで?」
みのりさんがびっくりする。
「うん。たまには良いかなあ、と思って。せっかくだし」
車が着いた場所は、俺が事前に予約した、海が見える。
ホテル。
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