You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

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休み明け、辞表を出してるわけじゃねえし、会社には行かなきゃならねえ。

第一、役員の俺が辞めるには役員会の承認がいる。

「尊、眼腫れてる。不細工なってる」

朝からみのりさんが俺の顔指さして笑う。

ちょっと、泣きすぎたな。眼がはれぼったくなってるな。

「不細工はないでしょ」

「宇宙人の埴輪みたいや」

なんで埴輪で宇宙人?みのりさんが言うには宇宙人の姿を模したのではないか、って言われてる埴輪があるらしい。

俺が泣いてた事は触れない。

俺が自分から聞いて欲しくて話するまで、みのりさんは何も言わない。

それがみのりさんの優しさだと思うけど、もしかしたら面倒くさいだけかもしれない。

いや、違う。優しさなんだ、そうだ。

会社では気まずい。

今までみたいに表面上の親子を取り繕うには。

無理があるし。

かと言って甘えるのも今更無理な歳だし。

なんとなくぎくしゃくしながら毎日過ぎて。

総務の机の一つをユウが使って電話番してる。そろそろ商品の流れもわかってきたかな。

「俺、かなり商品覚えましたよ!」

眼きらきらさせやがって。わかってねえな、コイツ。商品覚えるんじゃなくて、ブランドの定番とか売れ筋とか特徴覚えるために電話番やらせてんのに。

まあ、営業出させてえけど半日出勤じゃまだ無理だな。

携帯にメッセージがきて。

みのりさんから。ん?どうかしたのかな?

みたら。

【驚愕!!!!生物の神秘、進化の瞬間を我々は目撃する!!!!】

て、なにそれ。

その下に、みいくんのおしゃべりだよ。

って、書いてあったから、俺はなんかそれ凄いびっくりして、ホント、なにも考えずに。

「母さん!みいくんがしゃべったって!!」

社長室に行って、眼を丸くする母さんの机に座って動画再生して。

ラックに座ってみのりさんのカメラにご機嫌で手伸ばしてるみいくん。

『はあい、なにかなあ』

『とってー』

うわあ。みいくんが、俺の息子が。

しゃべってるよ。感動する。母さんも俺の携帯の画面見ながら眼潤ませる。

『なにがとってかなあ』

手を伸ばすみいくん。なに取って欲しいんだろ。お気に入りのうさぎかな。

ああ、凄いな。ホント凄いな。ちゃんと自分の意思がこうやって言葉になって。

俺もこうだったのかな。初めてしゃべった時って、親父も、母さんもこんな気持ちだったのかな。

みのりさんに向かって手伸ばすみいくんは。

『ぱいぱい!』

元気良く言った。

ぱいぱいとって、て、なんだ?

「あー、もうやだわ。みいくん可愛い!」

母さんがちょっと眼に涙溜めて笑うから、俺もなんだか照れくさくなって。

二人で何回も動画見ながら、笑った。




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