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I'll make love to you
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しおりを挟む俺の腕の中でみのりさんが寝息立てる。
ちょっと顔上げたら、ベビーベッドには静かに眠る満。
俺だってな、名前は色々考えたんだよ。
Σがかっこ良い響きだから獅熊、読みはしぐま。
恥ずかしい。
今思うと、みいくんの顔見ながら思うと超恥ずかしい。
親父が死ぬ前に言った俺の名前の事。
「強くたくましく、自らを尊び、人を尊ぶ人になって欲しいから、尊」
俺は自分の事も嫌いだったし、周りの事も信用してなかったから名前の様な人間じゃなかった。
名前は願いを込めるもの。
俺はみのりさんがいてくれて、みのりさんを愛する事で欠けてたものが埋まっていく様に。
みのりさんが俺を愛してくれるから俺は満たされて、やっと自分を好きになれた。
だから満たされて幸せであります様に。
男の子だったら漢字で満、女の子だったら平仮名でみちる。そう決めた。
愛された記憶が無いと思ってた俺の、願いを込めた名前。
たくさんの人から素直に愛を受け取って、たくさんの人に愛を返せるように。
みちるの世界が愛であふれるように。
だけど、俺も親父から愛されて、母さんからちゃんと愛されてた。
目に見えないものが、形で見えないものが在るってこと、俺には理解できてなかった。
ばあさまは、元からあんな人だったんだろう。
店長がいないと売上が立たないのは良くある事。店長が一人で売り上げてたら、店長が休みの日は売上ゼロなんて普通にある。
百貨店なんかに新しく店舗出したらそうなんだけど、顧客がつくまで売上は立たない。
個人のブティックじゃなお更。
一日十万程度の売上じゃ店舗の賃料で終わっちまう。
月に何度か俺に会いに来た母さんは、来る度に山ほどお菓子持って来て。
スナック菓子もあったけど、缶に入ったクッキーとかチョコレートとか、普通の店じゃ売ってない様なのもあったな。
ばあさまん家来る度に俺にべたべたして、嬉しそうにして。
自分が食うのも困ってたなら。
なんであんないっぱい買って来てたんだよ。オモチャなんか金かかるじゃねえかよ。
俺といる時は母親やりたかったんだろうけど。
拒んだのは俺。
母さんは母さんだったのに。
眠ってるみのりさんの横で、またちょっと。
泣いてしまった。
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