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I'll make love to you

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俺は子供の頃から、人前で泣いたことはねえ。

そりゃ、ずっと小さい頃は別だけど。

ケンカしようが、絶対泣かねえ、って俺の弱みなんか他人に見せてたまるかよ、って。

だけど。

みのりさんの前でだけは、時々泣いてしまう。

各務の話は、ショック、て言うより俺の中じゃ世界が反転するくらいの話だった。

俺の生きてきた世界が本当は。

暫らくはベッドで寝転んで、なにも考えられなかった。

暗い物置で助けに来てくれない両親を恨んだ。

誰も俺の事なんか愛してくれないと思ってた。

ばあさまが死んで母さんの家に戻った時。

俺の部屋の小さいベッドやたくさんのオモチャ。

そのままにしてあったのは、なんでだったんだろうな。

そんなこと、意味なんか考えたこと無かった。

くたくたになって、家帰って。母さんはオモチャと一緒に俺の姿見てたのか。

ちきしょう。眼が潤んでくる。

なんで今頃そんな話。

今頃もなにも。母さんの気持ちなんか一度も聞いた事ねえか。

死ぬほど踏ん張ってきたんだろうな。そんな事わかってる。自社ビルの上に直営が六店舗、買取は二十超える。

地場の中じゃ上位ランクだ。業界の中でも水原瞳子の名前は知られてる。

死ぬ思いしなきゃ伸し上がれねえよ。

俺のためだとか、そんなの聞いた事もねえ。

「出来れば尊に継いで欲しいと思ってたけど」

そう言ってたか。

俺が大人になった時に世間から認めてもらえる土台。

俺は水商売入って普通の世間じゃ眉潜められるような世界で生きて。

もしかしたらいつか、俺が普通の世界に戻りたいと思ったとき。

その時のために、俺に継がせるために会社守ってたのか。

みのりさんのために水商売抜けようと思ったとき。

俺は自然に母さんの会社で働こうと思った。

俺がもっと、聞いてれば良かったのか。俺はずっと穿った目線でしか母さんの事見た事ねえから。

こんな事が無かったら俺は。知らないままでずっと。

一生知らないままで、親はいないもんだと思い続けて。

「もう良いんだよ…尊はちゃんと愛されてきたんだよ…」

みのりさんの声は柔らかい。固まってた喉の辺りが溶けるように緩むから。

子供みたいに泣いてしまう。

みのりさんに触れられると、触れたとこからあったかい気持ちが浸み込んで来て。

体中があったかくなって落ち着く。

「みいくんともし離れ離れになっても、いつもみいくんの事考えると思うよ。ずっと、ずうっとみいくんの事愛してるよ」

みのりさんが言うから。

俺の気持ちは子供みたいに素直に開放されて、受け入れようとする。

愛される事を。




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