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そのじゅうはち
そのじゅうはち-6
しおりを挟む夫の口から出た言葉に自分の耳疑う。
辞める?なにを辞める!?皆一様に驚愕の表情で尊見る。
当の尊は腕組みして誰とも眼合わさず。
「俺が会社辞めれば顔合わす事ねえし」
えっ!?
「この家建てた時に出してもらった金もきっちり返す。それで二度と会わなくて済むだろ」
ええっ!?
ちょっと待てえっ!?会社辞めて無職なって乳飲み子抱えて路頭に迷う気かっ!?しかもその上貯金遣うのかっ!?
「俺もアパレルで人脈出来たし、他の会社行く。いくつか話はしてるし」
なにっ!?無職にはならんのか。
「営業からやり直しになるかもしれないから、当然収入は減るけど、俺頑張るからみのりさんも一緒に頑張ってくれる?」
あたし見てにっこりする尊。
いや、それはあたしも仕事すれば良いんだし。良いんだけど。
「そっ…そんな大事な事、なんで相談も無しに決めるんよっ!!」
「うあおうっ」
奇声上げる息子。
つっ、妻になんの相談も無くっ!!この先なにかと物入りになる家庭環境は置いといて。
「あたしはアンタの嫁じゃないんっ!?」
「あっきゃあっ」
「みのりさんは俺の大事な奥さんだから、俺はこの先なにがあっても絶対不自由な思いさせたりするつもりはないよ」
そう言う事じゃないだろおっ!!夫婦として、人生の伴侶としてっ!!
「そんな大事な事一人で考えて決めてっ!!普通、相談するやろっ!!」
「みいくんの育児で大変なんだから、余計な事言いたくなかったんだよ」
「余計な事やないやろっ」
「ばっうーっ」
ほら、息子も言っておる。
「みのりさんにこれ以上心配かけたくなかったんだよ」
それはわかる。わかるけどもさ。
あたしは尊の心配かけたくなかったって気持ちはよくわかるし、でも一言の相談も無く決めた事に妻としてのあたしの存在はなんなんだと悲しくもなる。
瞳子さんは泣きそうな顔で口ぱくぱくするばかりで。
「…もう、止めよう」
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