You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

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そのじゅうなな

そのじゅうなな

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良く晴れた日曜日。

ことこと鍋で煮込まれた、お粥。

尊が米から煮込んで作った。別にご飯からでも良かろうにと思ったけど。

なんせ、米からしてこだわってたからな。

いつもはウチは尊厳選の、水が綺麗なところのお米。

本日のお粥は更に厳選された一級品。米粒がきらきらしてた。

そして。みいくんのために厳選された、お皿やらお茶碗やらお椀やらお箸やらスプーンやらフォークやらマグカップやら。

それ、まだ使わんし。なんで今テーブルに並べる必要がある。

他にも離乳食作るためのありとあらゆる道具。

フードプロセッサーはみいくん用に別に新しいの買った。

「そりゃ、市販のは栄養バランスもちゃんとしてるし簡単だし良いかも知れないけど。やっぱりみいくんには俺の愛が無いとね」

と、料理は愛情を力説する尊。

何分くらい煮込んだ時に米の栄養素がどうしみ出してるかとか、なんだかんだ演説してたが。

もうね、普通食から産前産後、離乳食まで。ホントに料理本出そうよ。

そんで、一回ん十万とかぼったくって講演会やって稼いだらどうかね。ついでに料理教室でもやってさ。

なんだよ。会社無くても生活出来るやんか。

「俺はみのりさんとみいくんの食べるものしか興味無い」

とさ。もったいない。

さて、そろそろお昼も近づいて参りました。

「よし、これくらい冷ませば大丈夫かな。みのりさん座って」

みいくん抱っこして椅子に座ると、すかさず一眼レフが作動する。

「みいくんの初めてのご飯だからね。いっぱい写真撮らなきゃ」

テーブルの上にはおもゆ。尊がみいくん用のスプーン手にする。

「はい、みいくん」

スプーンでおもゆすくって。

「あ、ダメだ!これじゃ食べてるとこ写真撮れないっ!」

そうでしょうね。片手にスプーン、片手に一眼レフはね。

すんごい残念そうな顔して。

「じゃあ、みのりさんが食べさせてあげて」

あたしにスプーン渡す。ほほほ。やはりここは母であるみのり様の出番。

「ほい、みいくん。あーん」

あたしの手のスプーンはみいくんの口に。

「あうー?」

開いた口にスプーンちょっとつける。

「うわっ!みいくんっ!!産まれて初めてのご飯だよっ!!」

興奮しながらシャッター切る尊。

息子の口の端からだらりとこぼれるおもゆ。

「あれ?みいくんこぼしちゃったねえ」

お口拭いてもう一度。

スプーン口に入れると、その初めての感触が不思議なのか。

「うばっ」

嫌がる。せめて飲み込んでくれんかな。

「みいくん、パパの作ったご飯だよお。食べようねえ」

三度目の挑戦でようやく。

ごっくん。
 
「…うわあ…みいくんが産まれて初めてご飯食べたよっ!」

一眼レフ連写する親ばか。

「凄いねえ!おいちいかい?」

みいくん抱き締める親ばかその二のあたし。

そして夕刻。

迫りくる、嵐。




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