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そのじゅうろく
そのじゅうろく-12
しおりを挟む自分が完璧な人間だとか。
これっぽっちも思った事は無い。
OLやってた時だって。
「二宮さん、仕事を丁寧にやるのとただ時間かかるのは違うんだよ」
て、怒られてたしな。あたしとしては丁寧に何度も書類の見直しやってたつもりやけどな。
だいたいが営業事務とか向いて無かったし。投稿した小説が入賞したから辞めたけど。
入賞してなくても辞めてた自信あるな。
思えば。会社勤めしながら夜は小説こそこそ書いて。
夜中まで書いて、朝はおかんに叩き起こされて。いつも寝不足やったから自分が作った書類に自信が無い。
だから何度も見直しして、見直す度に気になるとこ直して。
小説書いて無いでちゃんと寝てれば仕事に集中してたかもしれんが、でも小説は書きたいし。
二束のわらじはとうてい履けなかったあたし。
今は名だたる賞も頂いて、職業は小説家です、て言える様にはなった。
けど、未だに他の作家さんとかに比べたら書くペースは遅い方だ。各務先生みたいに。
あの人は変態やけど、仕事では凄い。何本も連載こなしながらいつの間にか書き下ろし出版してたり、そんで書く量が多いから内容が薄いか、と言えば毎回読み手を納得させるものを書く。
しかもこうして仕事放り出して瞳子さんにくっついて行っても大丈夫なほど原稿のストックまである。
世の中には完璧な人はいるものだ。
あたしは一つの話をじっくり煮つめないと書けないと言うのに。
眼の前のみいくんはラトル手にんにゃんにゃ独り言。
もうそろそろおっぱいの時間やし、あたしもご飯の時間。
今日一日、まともに家事も出来ず仕事も出来ず。
ふと、脳内ドリーマーたっくん思い出す。みいくんが大きくなったらあんな風にいつもママ、って言いにくるのかな。
そんであたしはやっぱり家事も仕事もまともに出来なくて。
尊のためになにかしたいのに。
尊がいないとなにも出来なくて。
「ふっ…えっ…く」
なんであたしはこんなにダメなんだろうと。
思う傍から涙が出る。
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