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そのじゅうろく
そのじゅうろく-9
しおりを挟む聞けば。
彼の国では両者一歩も譲らぬ平行線が続き、日本で検品した粗悪品は航空便で現地へ送り。
こちらの言い分としては現品を見せた上で日本では売れないし、そもそもが粗悪品が多すぎるので契約内容を変更して交換に応じろと交渉するつもりで。
しかし。現品が到着する前に相手方がキレて交渉に応じなくなり泥沼化。
それじゃあ、こちらも交換じゃなく返品で金返せ、となるワケで。
そうしたら相手方から訴訟を起こすと言った内容の書類が弁護士通じて届き。最初の契約が有効であるのにぐだぐだ言ってブランドのイメージを悪くしたから金払え。と、言われたらしい。
その金額が日本円にして約二億!!
まだ訴訟は起こされて無いけど、最悪の場合に備えて尊が会社の資産を検討中。会社を今のまま維持して社員を守らねばならない。
「…社長以下役員の個人資産も抵当にするか売却するかも」
て、事はこの家売るかもしんない。いや、最悪そうなってもどっか引っ越すのは構わんし。
「尊っ、1DKのアパートとかでもあたしは全然平気やからねっ」
「…うん、みのりさんと一緒ならどこでも良い。あ、逆に部屋が狭かったらずっとくっついてられるかな」
そんな力無く笑うなっ。
「ずっとくっついてたら暑苦しいけど、部屋が狭かったら掃除が楽になる」
「もう、みのりさんらしいね。俺はそうならない様に頑張るけど。会社も家も家族も俺が守るよ」
尊がくすくす笑う。
「ふふ。みのりさんとお風呂入ったらちょっと元気出た」
それは良かった。妻として少しは役に立ってるかと安心したら。
「やんっ、もうっ!」
尊の手が動き出す。元気出た、ってそっちかいっ!!
「ああ、もう。こんなにしちゃったらまた洗わないといけないじゃない。お湯の中なのにほら、とろとろ」
「もっ、やあんっ」
一緒にお風呂入ると必ずヤられる法則は相変わらず。
「ほら、イッて?」
「ああんっ」
とかなんとかやりながら。
ダンナ一人に全てを背負わせるワケにはいかん。
あたしも頑張るのだっ!!
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