171 / 240
そのじゅうろく
そのじゅうろく-8
しおりを挟む一家の大黒柱の口から出た衝撃的な一言。
一体、なにがなんだか。
疲れた顔の尊は寝室にみいくん見に行き。残されたあたし、一人呆然とする。
いや、呆然としとる場合じゃ無いっ。とっ、とりあえず。
妻として何をすれば良いんだ、こう言う場合。
そうだ、ご飯をあっためよう!
えっと?今日は鰤の照り焼きと温野菜のサラダとお味噌汁だったな。
味噌汁あっためて。ん?鰤は鍋に入れるか?って、違うわっ!
照り焼きと味噌汁一緒にしてどうするっ!照り焼きとサラダはレンジじゃっ!
パニクるあたし。
レンジがチンした頃疲れた顔で尊が下りてきた。
愛息子見ても癒されてないのか。
「みいくん、よく寝てた」
にっこりする顔も力無い。食欲無さそうやけど、ご飯は食べねば疲れも取れんし。
「ご飯、食べてっ!」
「うん。ありがとう、みのりさん」
もりもり食べるのだあっ!
けど、やっぱ食欲は無さそうで。
ああ、どうしたら良いのですか。あたしに出来るのはご飯あっためるのと皿洗いくらいしか無い。
「ねえ、みのりさん…」
なんだ!?どうした!?
「みいくん寝てるし、お風呂一緒入ろ?」
って、あたしもう既に入浴後のパジャマ姿なんやけど。
けど、尊が元気出るなら。
「みのりさん、髪洗おうね」
いや、もう一回洗ってるんやけど。
「みのりさんの事だから、自分で洗ったらささっとシャンプーで流すだけでしょ。ちゃんと洗ってあげる」
確かに。自分ですると適当な上に最近はみいくんと一緒に入るから自分の事は更に適当。
あたしの頭からつま先まで洗いなおして満足そうな尊。そう言えば一緒に入るのも久しぶり。
「あー…みいくんお風呂入れる時も幸せだけど、みのりさんと一緒のお風呂はもっと幸せ…」
お湯に浸かって背中からあたし抱き締める尊。
いつもなら怪しい動きする手は大人しくあたしの胸で組まれ。あたしの肩に顎乗せてため息つく。
そんなに疲れてるのかっ!?
「俺はなにがあってもみのりさんとみいくんは守るから」
ぎゅっ、と腕に力入れる。
「絶対、辛い事も悲しい事も無い様に。いつでも幸せな気持ちでいられる様にするのが俺の役目だから」
「尊…」
なにがあったんだ。会社でなにが起こってるんだ。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる