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そのじゅうろく
そのじゅうろく-5
しおりを挟むて、掃除機の音でやっぱ起きるし。
仕方ない、スリングで抱っこして掃除機かけるか。
一階をくまなく掃除機かけるが、いい加減洗濯物を干さんとならんので今日のところは二階は諦める事とする。
掃除機かけたらフローリングを紙モップかける。リビングからキッチンから玄関まで。リビングは特に念入りに。
フローリングの面積にイラつく。
「うー、あっ」
そうか、おっぱいの側でご機嫌が良ろしいのか。まあ、大人しくしてるなら触らせてやっても良かろう。
今はぽんぽん、やけどこれが、もみもみ、になったらどうしよう。いつも不安になる。頼むから変態にだけは成長せんでくれ。
そしてようやく洗濯物を干し。
がっくり力抜ける。世の中の主婦の皆さま、尊敬させて頂きます。
みいくん抱えながらだったせいか、肩も凝った。
結局二階はモップ以外手をつけず。
洗濯も午前中には干してるはずがお昼はとうに過ぎ。
自分で宣言したものの、あまりのレベルに低さに落ち込む。
夜も遅くなって帰宅した尊が。
「ご飯の前にみいくん見てこようっ」
寝室に上がっていく尊の背中見ながら、はっ、と気付いた。
ベッドが朝起きた時のまま。しまった、ベッドメイクくらいはしとけば良かった。
掃除してないのが一目でバレるっ。
急いで二階行って。
ベビーベッドで眠るみいくんの頭にっこりしながら撫でる尊。
「尊…」
どうせ掃除してないの見え見えやからな。怒られる前に謝ってしまえ。
「どうしたの?」
尊があたし見てベッド見て理解したらしく。ベビーベッドから離れて。
「みのりさん、おいで」
あたしの手握ってベッドに座る。拡げた足の間にあたし座らせて後ろから抱き締める。
「みのりさん、今日は頑張ったねえ」
そう言って髪撫でる。
全然頑張って無いのに。要領の悪さ再認識しただけだよ。
「みいくんの面倒見ながら大変だったでしょ」
そんなん、普通の人ならちゃんと出来てるよ。
「みのりさんは不器用だし要領悪いし、ついでにおっちょこちょいだし」
悪かったな、その通りだよ。
「なのに俺のこと考えてくれて苦手な事やろうって頑張ってくれるから、俺は凄く嬉しいんだよ。ありがとうね、みのりさん」
なんでそんなにあたしに甘いんだよ、アンタは、涙出てくるやろ。
「ちょっとずつで良いからね。一日、いっこだけ頑張れば良いから。そしたら次の日はもういっこ頑張れる事が増えるでしょ」
小学生の通知表みたいな事言うなよ。
「みのりさんが無理して頑張るくらいならその分俺が無理してでもやる」
「それは嫌だ」
だって尊に無理させたくないからあたしが頑張ろうって思ったのに。
尊があたしのほっぺたにキスして。
「ありがとう、みのりさん」
て、言うからあたしはなにも出来てないのになんでそんな言われるんだろう、って思いながら。
涙止まらなくなって。
尊があたし抱き締めて。
「お腹すいちゃったよ」
笑いながら言った。
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