You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

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そのじゅうご

そのじゅうご-11

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「みちるくん、お利口さんだったねえ」

「うーあうっ」

撮影が無事終了してスタイリストさんに抱っこされてご機嫌のみいくん。

もう横抱きじゃなくても大丈夫なのに、スタイリストさんの腕に横抱きされてる。

「さ、みいくん。ママのとこにおいで」

「ぶっ」

なんじゃ、その声は。母では不満か。名残惜しそうにスタイリストさんの胸さわさわするんじゃないっ。

スタイリストさんの腕からひったくる様にして抱っこ。

「…あの、天海先生」

暗い表情の富永嬢。

「申し訳ありませんでした…」

「いや、まあ…余計な事ですけど、お付き合いする男性は選んだ方が良いかと…」

「はあ…」

「でもみちるくん可愛いですねえ。いっぱい赤ちゃん見てるけどその中でも凄い可愛いですよ」

事情知らぬスタイリストさんが明るく言う。

「普段はモデル事務所に所属してる子がほとんどだけど、みちるくんの写真出たら逆に事務所からスカウトきますよお!」

ス、スカウトとなっ!?

「ああ、そうですねえ。これだけ可愛かったら将来見越してタレント事務所も来るかも」

笑うスタイリストさんにつられたのか、富永嬢も明るさ取り戻す。

タレント、っておかんが入れたがってる事務所とか!?いや、あそこはスカウトは無いよな。

ど、どうしよう。みいくん芸能人になるのかっ!?

と、明るい雰囲気のこちら側とは打って変わって。

厳しい顔つきの尊親子と他一名。

「一体どうなってんだよ、いきなり訴えるとか言われるなんて」

「内容が良くわからないのよ。届いたメールにそう言う一文があるらしくて。イタリア語に堪能な人がいないから大まかにしか翻訳出来ないから、実際にメールの内容見てみないと何が問題なのかわからない」

「それじゃ、そのメールを僕の携帯に転送してもらえませんか?僕が翻訳しますよ」

「でも、どっちにしてもなんにしろ、戻らないと対策立てられないわ」

腕組んで難しい顔して。

「くそっ、飛行機空席待ちしかない」

携帯で航空会社の予約画面みてるらしい尊。ホントは今日は一泊して明日の夕方の便で帰る予定なんやけど。

大変な事が起こってるらしいのはわかる。
 
「あ、そうだ。富永サン」

唐突に各務先生が富永嬢に声かける。

「はっ、はい?」

「キミ、航空会社に御親戚がいたよねえ。至急チケット手配してくれない?」

「えっ!?はいっ!」

富永嬢が慌てて携帯出す。

「あ、みいくんはまだ席いらないのか。じゃあ、四人分ね」

なぜに四人分?

「三人で良いだろ。なんで四人なんだよ」

尊の言う通りだ。

「俺の分入れたら四人でしょ」

「はあ?なんでお前が」

なんでアンタが?

「だって俺が一緒行って内容見た方が早いでしょ。俺法律用語もわかるし」

「でも準一郎君…それは」

瞳子さんが困った顔する。

「あ、夕方の便なら席はばらばらですけど四人OKです!」

使命果たした感の富永嬢の声。

「瞳子さん…」

各務先生が瞳子さんの手握って。

「僕はあなたのお役に立てるならどこへでも行きます。愛する人のためなら僕はなんでもしますよ」

て、真面目な顔したから。周りのあたしらも気圧されて。

ただ各務先生と瞳子さんを見てた。

このまま行くとキスかな。とかぼんやり思って。

「あ…愛する…人って…」

呆然と呟く富永嬢の声で尊が我に返り。

「お前、離れろっ!!」

「嫌だね。さあ、行きましょうか瞳子さん」

瞳子さんの肩抱いて外に出る各務先生。

「てめっ!いい加減にしろっ」

後追う尊。忘れられる妻と子。

「みのりさんっ!!」

戻ってきた。

「忘れたんじゃないからねっ!違うからねっ、俺はいつだってみのりさんとみいくんが一番だからねっ」

必死な尊。別に良いけど。

荷物持ちながら厳しい顔の尊に。

なんだか言いようの無い不安感じた。




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