You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

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そのじゅうご

そのじゅうご-10

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「各務先生…」

富永嬢が呟いてがっくり肩落とす。

「ま、俺に恨みあるんなら俺を攻撃するのが正しいと思うけど?みのりちゃん夫婦に騒ぎ起こさなくても良いでしょ」

そうだそうだ。変態への恨みは変態に返せ。

「…天海先生」

顔上げる富永嬢。なんであたし見るのさ。

「先ほど各務先生が天海先生と満くんの事愛する人たち、って仰ったんで…私悔しくて。私の事は遊びだったのに、お子さんまでいる天海先生の事は本気だなんて…ご主人もいらっしゃるのに」

なにを言っとるんだ。

「だからご主人にお二人の関係それとなく伝えた方が良いと思って…。不倫とか止めて下さい。各務先生も…」

不倫なんぞしとらんわっ!

「てかさあ?親切心装って悔し紛れに嫌がらせしたかっただけでしょ?」

すっぱり切り捨てる各務先生。て、言うかアンタが原因なんやろが。

「それに、富永サンとは遊びってワケじゃなかったけどね」

「えっ!?だって急に別れるって…私どれだけ辛かったか」

あー、なんですな。女関係乱れてた過去持つ男はやっかいですな。

「妊娠までしたんですよ!?なのに別れるって酷いと思いませんか!?しかも流産して」

あたしの手握ってまくし立てる。同情しろって事ですかね。

「うん、妊娠はびっくりしたけどね。俺の子、ってウソつかなきゃね、俺も穏便に済まさなくもなかった。妊娠もウソだったろ?」

「そんなっ!酷いと思いませんか!?天海先生っ!!」

妊娠がホントだったのかウソだったのか、それは定かじゃないが各務先生の子、は完璧にウソでしかない。富永嬢は事情を知らないと見える。

そのしたたかさが仇になったワケで、あたしが富永嬢に同情する余地は無い。

「俺はね、ウソつかれるのは嫌いなの」

「…ウソなんてついてません」

富永嬢の言葉に各務先生がため息ついた。

「俺はね、生物学的に子孫が残せないの。俺の遺伝子持った子供なんてありえないの」

「え…」

「だから、俺にウソついたのが嫌だったから別れたの。それに、みのりちゃん達は俺の最愛のひとの家族だから、俺の愛する人達なの」

呆然とする富永嬢に追い討ちかける各務先生。

まあ、上手い事行ったら富も名声もある人気作家の嫁になれてたかも知れんかったんだからな。

そりゃ悔しいだろな。

「……申し訳ありませんでした…」

理解したらしく。富永嬢が頭下げた。

世の男性陣は、結婚とか真面目に考える時には過去を綺麗に整理すべきですな。

「尊っ!!」

勢い良くドアが開いて、瞳子さんが顔出した。

「あ、俺の最愛のひと」

のん気な各務先生に眼もくれず携帯片手に慌てて尊呼ぶ。

撮影終わったのかな?あたしものん気。

「イタリアでトラブル起きたわ!すぐ会社戻るわよっ!」

なんぞ問題があったのかな?

あくまでものん気に構えてたのに。

そうもいかなくなった。

 


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