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そのじゅうよん
そのじゅうよん-4
しおりを挟む赤ん坊って不思議なもんだな。
ちょっと前まで泣くか寝てるかおっぱい飲んでるか。
そんな感じやったのに。
眼を覚まして泣き出す前に何やら一人ごちる時間も出てきた。
「ぶう」
「あっ!みのりさんっ、みいくんがなんか言った!」
「ぶふーう」
なんじゃ、そりゃ。
「ぶひゅ」
子豚かっ。
「みいくーん、パパって言ってごらん?ぱあぱ」
言えるワケないやろ。
「ぶう」
手足バタバタする。
「みいくん、ご機嫌だねえ」
「うー」
あたしが話しかけると普通。この落差に尊は気付いてない。
そっとしとこう。
おっぱい飲むのもな、両手おっぱい添えてたりして。将来が心配です。
顔立ちもちょっとはっきりしてきて、まつげが長いんだよな。赤ちゃんのくせに。
やっぱり尊に似てる、とみんな言う。
変態性も見事に受け継いでそうで怖い。
そうこうしてる内に一ヶ月検診でございます。
「みいくん初めてのお出かけだねえ」
運転する尊はご機嫌。ご機嫌のワケはあまり考えたくないな。
みいくんの身体測定やら健康診断やらあたしの診察やら。
終わって診察室に呼ばれる時来なくて良いのに尊が着いて来る。
「俺も父親だからね、みいくんの事はちゃんと聞いとかないと」
それはごもっとも。
みいくんはちょっと体重も増えて順調に問題無く。
「お母さんも普通に生活して大丈夫ですよ」
お医者に言われた。
はあ、やっとお風呂に浸かれるよ。ずっとシャワーだったからな。
検診も無事終了し椅子から立ち上がろうとしたら。
「あの、先生。普通の生活って」
なに聞く気だ、このやろう!
「セックスしても良いんですか!?」
ばかやろおおおおおおおおおおっっっ!!
「良かったねえ、みのりさん。なにも問題無くて」
帰りの車内、ご機嫌の尊に無言のあたし。
こっ恥ずかしい事平気で、しかも真顔で!!聞きやがって。
しかし産後と言う最強盾が破られた。
武器屋で新しい盾を仕入れるか、それともなにか撃退魔法覚えるか。
ま、ね。別に嫌なワケじゃないんですよ。そりゃあ大事なダンナだし、えっちすんのは嫌じゃない。
ドSという性癖じゃなければ、ですよ?
「ん…みのりさん、可愛い」
あたしの首筋キスしながら。
「ちょっと触っただけなのにもう…ほら、こんなになっちゃってイヤラシイね、みのりさん」
そうやってあたしを苛める。
「あっ…やあんっ」
「嫌じゃないでしょ?ウソつきな奥さんにはお仕置きしちゃおうかな」
「やん…もう…」
と、それは良いけど避妊しないとな。
「ちょ、尊…」
言おうとした時。
「ほんげえっほんげっ」
突然泣き出すみいくん。夜中はあんまり起きなかったのに。
どうした!?
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