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そのじゅうさん
そのじゅうさん-8
しおりを挟む病室に日参してはみいくん眺め。
「やっぱさあ、お腹を痛めて産んだ子、てとこが父親と母親の違いだと思うんだ。自分の胎内で細胞分裂するワケだしさあ。母親からしてみると分身みたいなもんじゃない?そう言うとこで俺は例え他人の精子使ってでも出産にこだわってたんだけどさあ、失礼だけど瞳子さんの年齢じゃ出産は身体に負担が大きいと思うんだよねえ。だから乳児を養子にする方向で考えてるんだよねえ」
瞳子さんとの将来に勝手に思い馳せる各務先生。
「ほおら、みいくん。ミルク美味しいねえ」
聞いてない尊。
「いやあ、尊くんもうすっかりパパやねえ。ミルクの飲ませ方の上手な事!」
褒めて尊を伸ばすおかん。
「みいくん見てると子供は大事な宝だと心底思うよ。世の中には色んな理由で出産諦めて養子迎えるご夫婦もいらっしゃって自分の子として愛情を注いでるワケだし」
「各務先生、原稿が」
日に日にやつれる松本氏。
「俺も瞳子さんと二人で子供にたっぷり愛情注いでさあ、幸せな家庭を築きたいよ」
一人でぺらぺらと。
妄想変態売れっ子作家が。
「…いや、でもですね」
「いや、みのりちゃん。もちろん君達の事は長男夫婦として俺もこの先可愛がらせてもらうよ?」
て、アンタあたしより年下じゃっ!
「いや、その…と、瞳子さんのお気持ちがですね…」
各務先生が腕組んでうん、うん、て頷く。
「問題はそこなんだけど。彼女もビジネスを抱えてるし立場もある。でも俺達の距離は確実に近づいてると思うよ」
にっこり。
瞳子さんは無意識とは言え、少なからず自分を想っている男性にあんな態度を取った事を反省してるらしく。
逆に強く拒絶する事が出来なくなってしまったらしい。
最近は会うのは病室ばっかりで常に各務先生がいるからはっきりと瞳子さんから聞いたワケじゃないけど。
尊はもうみいくんの事しか頭に無いから二人の事はほったらかしやし。
困ったもんだ。
「中庭の花壇が綺麗だったから、ちょっと見に行ってからお食事行きましょうか」
そう言って各務先生が病室に来た瞳子さん連れ出す。
「ちょっと、尊。様子見に行こうよ」
「ん?別に良いんじゃない」
みいくんにしか関心無いな、コイツ。
「良くないやろっ!」
「なんで?別にもう良いって。母さんの自由だし」
ばかやろおおっ!!
「良くない。ちゃんと考えなさい。このまま行ったらアンタ、同い年の父親出来るんよ?あたしなんか年下の父親だぞ?」
「うん?」
「しかもヘタしたら自分の子供と同い年の兄弟が出来るかも知れんよ!?」
尊が真顔になる。
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