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そのじゅうさん
そのじゅうさん-5
しおりを挟むいやいや、しかし。
身体がすっかりと。軽いのなんの。ほれ。
前屈が出来るですよ。
うつ伏せにもなれる。
妊娠中に大の字で寝るのがすっかり板についてるからうつ伏せじゃ寝らんけどな。
「ほげっ」
「みいくん、パパだよお」
にたにたしながらみいくん抱っこする尊。
色男も血を分けた息子の前じゃ。
眉毛下がって口角緩みっぱなし。
「ほげえっ」
「どうちたのかなあ?お腹しゅきまちたかあ?でもさっきおっぱい飲んだばっかりだよねえ。オムツも換えたばっかりだし」
なんじゃその赤ちゃん語。
「ほげっっ」
なにゆえ我が息子は。この様な泣き声?
「ほげっほげっ」
尊が身体ゆらゆらさせる。
一番最初に抱っこした時。
ベッドの端に腰掛ける尊にあたしからそっと渡した。
受け取る尊の手が震えてて落としたら怖いな、とか思った。
みいくん腕におさめた尊は今までに見た事ないくらい優しくて穏やかな顔で。
なに考えてるのか黙ったままみいくん見詰めて。
「…一億人以上人間がいて…みのりさんが俺と出会ってくれたのはホントに奇跡だよね…」
そう言うと。
号泣し出した。
ギャラリーびっくり。あたしもびっくり。
背中さすってやったら。
「満は産まれてきて良かったって…心からそう思える様に世界で一番幸せな子にしてあげようね」
泣きながらそう言った。
瞳子さんがちょっとだけ複雑な顔した。
尊はオムツ換えも早い。うんちの始末もささっとやって手際良く換える。どこで練習したんや。
時々。
「うん、これは成長するよな。俺の子だし。仮性とかになったらかわいそうだから早めに…」
オムツ換えながらぶつぶつ。
「ちょと足が冷たいよ」
そう言って靴下履かせる。どっちかって言うと暑いくらいなんやけど。
「うわあっ!みのりさんっっ見てえ!可愛いっ!」
バシバシ写真撮る。
産まれた瞬間も撮りたかったらしいが二人とも茫然自失やったからな。
「ああっ!もう、なにこの手!ちっちゃいのに爪あるしっ!爪ちっちゃ!」
また写真バシバシ。
そんな尊のパパぶり見ながらこれが元ヤンの元No.1ホストの過去持つ男とはとうてい思えん。
でれでれの尊さんですが。
「ほげっ」
「どうちたの?泣き止まないねえ」
「ほげえっ」
ほげほげ泣くみいくんは。
「みのりさん代って?」
あたしに抱っこされるとぴったり泣き止む。
「あれ?ママが良かったんでしゅか?」
だからなんじゃ、その赤ちゃん語。
「ほら、もっかいパパのとこおいでえ」
尊が抱っこすると。
「ほげえっ」
あたしが抱っこするとぴたり。
「なんで俺が抱っこすると泣くのかな?抱き方悪い?」
聞かれてもな。赤子の思考は未知なもんでな。
「うーん、やっぱ腕の柔らかさとかで違うのかなあ?」
尊の腕は筋肉やからね、確かに固いかもね。
て、言うかさ。
産まれてから毎日面会時間いっぱい病室で過ごしてさ。
父親の役目は家族養う事でもあると思うんだけどさ。
会社、行けよ。
パパ。
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