136 / 240
そのじゅうさん
そのじゅうさん-4
しおりを挟むそのまま休んでて良いですよ。て言われたし。
動くどころじゃないし。
尊がずっと髪撫でるから眠くなって。
その間ギャラリーの皆さまの間でなにが起こってたかも知らん。
どのくらいか経って眼が覚めて。
「お部屋に行きましょうね」
車椅子で病室まで移動。
「みのりちゃん!おめでとう、頑張ったね!ねえ、切開した?痛かった?今痛い?」
「先生、お疲れ様でした。母子共に健康で誠におめでとうございます!」
なんでいるんや、アンタら。
「みのりちゃん良かったわあ!ホントよかった!」
瞳子さんに手握られる。
「いやあ、芸能事務所って何歳から履歴書出せるんやろねえ」
「知るかいな。尊君はともかく、半分は家の血やぞ」
後ろついてくるおとんとおかん。
「ああ、そうやった!半分みのりやっ!」
こらあっ!実の娘のねぎらいせんかいっ!
尊がいないなと思ったら病室に先回りしてた。
車椅子からあたし抱き上げて。
「お疲れ様、みのりさん」
ホホエミながらあたしベッドに降ろす。
ん?なんで右手の人差し指に包帯してんだろ。
ま、良いか。
「いやあ、ホント僕も尊クン達みたいな幸せな家庭が…瞳子さん歳の差なんて関係ないでしょう?」
「準一郎くんは冗談がお上手よねえ」
まだやっとるんかい。
ざわつく病室内が静まる。
ドアが開いて。ナースさんの腕に赤ちゃん。
「はい、ママですよお」
渡される赤ちゃんを受け取る手が緊張で震える。
どうにか落とさずに抱っこ。
「おっぱいあげてみましょうか」
「あ…は、はい」
「お前ら見るなあっ!」
男性陣に怒鳴る尊。背中向ける男性陣。
「あ、お父さんは良いです」
おっぱい口に含ませると。
痛えっ!!そんなにがしがし食いつくんじゃないっ!
しかもおっぱいに手がっ!生後何時間のくせにっ。
さすが尊の遺伝子。
「うわあ…飲んでるよ、美味しいのかなあ?」
「…飲んでみたいとか言わんでよ」
言葉詰まらせる尊。言うつもりやったな、コイツ。
ひとしきり飲んで満足したのか。
あたしの腕の中でほげほげ言う赤ちゃん。なんでほげ?
「ところで尊君、名前は決めたんかな?」
おとんの言葉に尊がこの上なくきらきらした笑顔見せた。
ああ、神様。仏様。
どうかこの子に素敵な名前を与えて下さい。
「みちる」
みちる?
「満と書いてみちる。字はちょっと古臭いけど」
尊が照れながら。
「愛で満ちあふれるれる子になってくれます様に。たくさんの愛で満ちて幸せになって、たくさんの人を満たしてあげられる人になります様に…」
愛で満ちる子に。
なります様に。
ありがとう、神様。仏様。
1
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる