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そのじゅうに
そのじゅうに-9
しおりを挟む「…オトすって…なんだよ、てめえ」
尊が各務先生睨み付ける。
「あ、言い方悪かったね。俺とのお付き合いを承諾して頂くまで」
「はあ?」
尊とあたし思わず声揃える。
「承諾してもらえたらその後は遠距離恋愛にはなるんだけども。まあ俺はいつでもこっち来れるし、なんならこっちで部屋借りても良いし」
「ちょっと待てよ」
尊が各務先生の妄想遮る。
「お前、人の母親エロい眼で見るなよ。キモい!」
「エロい眼ってなんだよ失礼だね。そりゃぶっちゃけエロい事もしたいワケだけども」
「止めろおっ!!」
あらま。尊鳥肌たってるよ。
エロい事って。各務先生はど変態で普通じゃない趣味お持ちなワケで。それで瞳子さんとお付き合いしたいワケで。
「みっ、みのりさん!考えちゃダメだからねっ!」
頭ぐるぐるなあたし。
「人の母親に手出すなっ!この変態がっ!」
「確かに君の母親ではあるけどさ」
各務先生がそれまでのにやけた顔止めて真面目な顔で。
「俺にとって彼女は一人の女性なんだよ」
それは。あたしらにしたら親でも違う人から見れば女性。
瞳子さんは綺麗だし男性からお誘いがあっても全然不思議じゃない。のですが、しかし。
「瞳子さんは綺麗で頭も良いし、自立したしっかりした女性で…。でも素直に感情を出したりする可愛らしいところもあって、ああ言う人が俺にちょっと我儘言ってくれたり甘えてくれたりとかして欲しいなあ、とね。そしたら俺今度こそ本気で愛して彼女を守るよ」
「でっ、でも各務先生?歳の差とかもあるし、各務先生には若くて綺麗な人いっぱい寄ってくるじゃないですか」
こないだもなんとか言うタレントと週刊誌賑わせてたろうが。
「違うんだよねえ…俺に寄ってくる女はみんな俺の金と有名作家、ってステータスに寄ってくるんだよ」
そこら辺はお聞きしたがな、なんで瞳子さんなんだよ。
「たいていの女は俺の印税やら年収やら聞きたがるけど瞳子さんはそれは無いし」
興味無いだけやろ。
「初めて一緒に食事した時も本が売れてるとかじゃなくて、小説のテーマの事とか熱心に聞いてくれたし。俺をちゃんと俺として見てくれてるんだよなあ」
と言うか、瞳子さんが話し上手なんですよ、それは。
「あんな人に出会ったのは初めてで…俺が自分から一緒にいたいと思った女性がたまたま君の母親だった、って事なだけだよ。尊クン」
各務先生はソファーから立ち上がって。
「お風呂入ってこよおっ」
口笛吹きながらバスルームに行った。
ソファーに残された尊とあたしは二人顔見合わせて。
「………本気、なの?」
ため息混じりに同時に呟いた。
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