You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

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そのじゅうに

そのじゅうに-6

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この道はいつか来た道。

ええ、ええ。尊の漢字読めない度が発覚した例の名所でございますよ。

参道の数メートル先、並んで歩く。

瞳子さんと各務先生。

参道から逸れて土産物屋の影に身を潜める。

尊とあたし。

にこやかな笑顔でなにやら会話しながら歩み進める瞳子さんと各務先生。

「……」

二人の移動に合わせて頷き合い建物の陰進むあたしら。

あくまでも姿勢は低く。見つからない様に。

腰が痛いな。

尊は今朝一回会社行った。

一時間くらいして待ち合わせの時間らしく。

「じゃあ、行ってくるねえ!」

上機嫌で出かけた各務先生。鼻歌はI Love Rock'n Roll。

やる気満々だな。

瞳子さんが会社出て速攻で帰宅した尊と共に。

「今更だけど、みのりさん変装になってないよね。帽子とサングラスってみのりさんの可愛さ隠しきれてないし」

なんじゃ、そりゃ。

どだい、妊婦やからな。悪いがこのお腹はどうにもならん。

だいたい尊の方こそ普段着にジャケット羽織ってボルサリーノとか。

か、かっこいいじゃないか。

いかん、バカップルやっとる場合じゃない。

「…そうなんですか。離婚なさってからずっとお独りで…お仕事も子育ても大変だったでしょう?凄いですね。僕尊敬しますよ」

「お恥ずかしいわあ。子育てはねえ、ダメねえ」

「そうなんですか?尊クンは立派な大人じゃないですか」

「今はそうだけどみのりちゃんとお付き合いしてなかったらどうなってたか…」

微かに聞こえてくる二人の会話。

尊と二人、これでもかと聴覚に集中する。

「二人とも可愛らしくて良いご夫婦ですね。羨ましいです」

「あら、準一郎君も尊と同じお年でしょ?まだまだたくさんの人に出会えるから焦らなくても大丈夫ですよ」

「尊クンはみのりちゃんが運命の人だって言ってたなあ…僕もそう思える人に出会いたいと思って…瞳子さん…」

おっとお!それ以上は危険だっ!

「あら!なに、これ!?」

各務先生の言葉無視して眼に入ったとこにスタスタ歩く瞳子さん。

マイペースでらっしゃる。

ここにはそれはそれは珍しい、某有名なコーヒーショップがございましてですね。

なんか入り口から木材が組み合わさってる。

ワタクシなんぞにはよくわからん不思議な外観ですが。

「あらあら!凄いデザインねえ!」

「ああ、ここは建築家の…」

さすがにこんな地方の一角の事でも情報仕入れてる各務先生。

瞳子さんになんちゃら氏の建築について話し出す。

「準一郎君はお詳しいのねえ」

感心する瞳子さん。

「仕事がら色んな事に興味持っちゃうんですよ。やっぱり自分のアンテナ拡げておくと小説の題材にもなりますから」

左様ですか。あたし今書いてる話に関連してる事以外興味湧かないですがね。

売れっ子作家は違うな。いや?だから売れっ子になれるのか?

うむ。見習うか。

「入りましょうか?」

各務先生が瞳子さんに声かける。

まっ、まずい!店ん中狭い上に細長いから入られたら尾行出来んっ!

「そうねえ…でも味は一緒でしょ?どこでも飲めるコーヒーだからいいわ」

瞳子さんは合理的でらっしゃる。



 
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