You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

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そのじゅういち

そのじゅういち-7

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「あー。唇切れちゃった。まあ、歯は折れてないから良いか」

手鏡見ながらほっぺたさする各務先生。

「みのりさん、もう大丈夫だからね。俺がトイレなんか行かなきゃ良かったね、ごめんね」

いや、生理現象は我慢すると身体に毒やろ。

膝にあたし乗せて抱き締める尊。

尊の右ストレートで各務先生は見事にふっ飛んだ。

軽く1メートルくらい。まるでスローモーション見てるみたいに綺麗に弧を描いて。

床に落ちた各務先生に圧し掛かろうとするする尊を。

「お気持ちは察しますが、その辺で」

後ろから尊羽交い絞めする松本氏。

「煩えっ!殴らせろおっ、かがみいいーっ!」

「え?もう黙って一発殴らせてあげたでしょ?」

ほっぺた押さえて起き上がる各務先生。笑ってるし。

「ざけんなああっ」

「はいはい、水原さん。もうここは良いですから奥さんの方を」

ジタバタしてた尊が松本氏の言葉にはっとして。

「みのりさんっ!!」

松本氏振り解いて。

現在に至る。

「各務先生も、悪ふざけは控えてください。本気で貴方を殴る人もいるんですから」

「俺も本気だったのに」

「まだ言うかっ、てめえは!みのりさんは俺の大事な人だっ。お前の親父がとかどうでも良いんだよっ」

尊があたしをぎゅってして。

「俺はみのりさんのためなら世界中敵にまわしたって構わねえんだよっ!」

「じゃあとりあえず日本中敵にまわしてみる?」

各務先生がくすくす笑う。なにする気だ。

「各務先生」

「ウソだよ。松本氏の顔が怖いから止める」

なにを考えてたのか知らんが松本氏にたしなめられて。

窓際の椅子にかけてぼんやり外眺める。

「ダンナあ…」

ぼそりと言う。

「なんだよっ」

尊が威嚇する。

「父親になるってどんな気分?幸せなの?」

あたし見てちょっと言葉詰まらせた尊は。

「幸せと…不安もいっぱいある。俺は家庭とか知らねえで育ったからどんなのが一番幸せなのかはわかんねえけど。みのりさんと産まれてくる子供がいつでも安心して笑ってられる様に俺がいっぱい頑張るって決めてる」

「そっか…俺もさあ…幸せになりたいよなあ」

各務先生は多分、ごく普通にお父さんとお母さんと子供がいて。

普通の事に憧れてる各務先生の気持ち。

普通の事が出来ないパラドックス。

「絵里さんは今どうなさってるんですか」

松本氏が言う絵里さんて。




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