You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

文字の大きさ
上 下
119 / 240
そのじゅういち

そのじゅういち-6

しおりを挟む




松本氏は各務先生とどのくらいのお付き合いなんだろ。

「各務先生と僕は出身大学が同じなので懇意にして頂いてます」

なるほど。

じゃあ各務先生の生い立ちにまつわる過去とか。

「各務先生は一部でしか知られていませんが高名な政治家の血を引いてる方です」

それはあたしも聞いた。お父上に可愛がられた事がないとか。

だから愛情に飢えてるのかな。

誰かに愛されて、愛して幸せな家庭に憧れてる。

それはちょと哀しい人。

「それを良い事に我儘放題で。僕達編集には無理難題押し付けるし」

は?

「気分が乗らなければ締め切り前でも平気で遊びに行くし」

ちょっと待て。各務先生と言う人物が形成された話では無いのかな。

「とにかく女性関係が一番酷いですね。付き合いだしてすぐ結婚って言い出すんですよ」

乱れてらっしゃる様ですね。

「それは別に良いんですが、すぐに別れてまた別の女性に結婚とか言い出す。芸能人相手は止めて欲しいとは言ってるんですけど」

ははは。芸能人相手に変態行為するのかな。

それ、バレたら怖いな。

「ただ見境無く結婚と言う割りに続かないのは、寄って来る女性が自分の名声と財産にしか興味が無い人ばかりだと…」

「お顔も良くてらっしゃいますしね」

「そうですね。それでも好きになれるかもしれないから交際してみて、結局相手が本当に自分を好きにはなってくれないと嘆いて…その度に死ぬと喚いてます。何回それで呼び出された事か」

一体、松本氏は何が言いたいんだ。それはいわゆる愚痴と言うものですよ。

各務先生を許すとかなんだとかの要素がまったく無いんだがっ。

「各務先生は女性が好きなんですが…本当は自分が父親になりたいんですよ」

お。やっと本題に。

「優しくて家族を愛して暖かい家庭の父親、それが各務先生の理想なんですよ」

でも各務先生にはそれが出来ないんだね。

「父親になりたい願望が僕と天海先生を見て刺激受けたんでしょうね」

それで拉致られたあたし。

「一度だけ…各務先生の望みが叶えられそうな機会があって…」

「え?でも各務先生は子供が…」

「民間の団体ですが、精子提供を受けて体外受精する事は出来ます。遺伝学的には自分の子でなくとも愛する女性が身ごもってくれるならそれで良いと…」

愛する女性?

「あははははっ!ダンナ、マジ面白ーっ」

するりとドアの隙間から各務先生が現れる。

「待ちやがれえっ!」

その後から尊。どうやら屋敷内一周して来たらしいな。

「ひらひら逃げやがってえ!待てよっ」

尊の手すり抜けて松本氏の背中に逃げる各務先生。

「くぉんのおっ」

松本氏盾にされたら尊も手が出せん。拳握り締めて歯ぎしりする。

「絵里さんと仰いましたね。あの方がいなくなってから各務先生の我儘ぶりは酷くなりました」

「ん?なに?俺の悲しい過去解き明かしてんの?」

無邪気に笑う各務先生を松本氏が尊の前に突き出す。

「え?なに?」

笑う各務先生。

「貴方は甘やかされ過ぎですからね。たまには我儘の度が過ぎるとどうなるのか体験してご覧なさい。どうぞ、水原さん」

尊は松本氏の言葉に不思議そうな顔した後。

「覚悟しやがれ!各務いっ!」

思いっきり右ストレート放った。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

処理中です...