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そのじゅういち

そのじゅういち-2

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明治辺りの建築様式を真似られたものか。

お姫様でも出てきそうな白いお屋敷。

長い廊下の壁にはいくつもの絵画。

むむ?絵画には造詣が深くないが。もしやこの絵は。

あの、ネロとパトラッシュが最後に見たというっ。

「熱心に見てるとこ悪いけど、模写に決まってるでしょ。本物どれだけデカイと思ってんの」

そ、そうでございますね。わかっておりますとも。

「ははは…ところで各務先生のお家ですか?ここ」

「そうだよ。昼間は通いのオバサンがいるけどね。今天海サンと俺だけえ」

なに?誰もいないお屋敷に妊婦連れ込んでどうする気だ。

しかし、凄いお家だよな。都内の高級住宅街にこんなお屋敷なんてどんだけ本が売れたら買えるんだ。各務先生はテレビとかも出てるからな。相当儲かってやがるな。

「親父からのもらい物だよ。こんな土地と家なんか買えるワケないでしょ」

「へ?お父上?」

「天海サン、俺の経歴知ってる?」

うむ?なんちゃら大学の文学部でしたっけ?

「知ってる人だけしか知らない俺の公然の秘密う。俺の親父は明治から代々続く政治家でえす。あれ?今何大臣だっけ?ま、良いか」

な、なんと。

だから国家権力が当てにならんのかっ。

まさかこの変態、それを良い事にあたしに変態行為する気じゃないだろうな。

「どうぞ、座って」

通された部屋。

顎が落ちるかと思うくらい口開けて呆ける。

アンティークなソファーにベッド。

猫足のチェストのガラス扉の中に陳列されたオモチャの数々。

お子様のオモチャじゃありませんよ?とても猥雑なオモチャですよ?

「ホントはさあ、すっごい良いワインがあるんだけどなあ。天海サン飲めないでしょ。残念」

そう言いながら薄茶色い液体の入ったグラスを差し出す。

む。匂いはちょっと香ばしいな。

「ただのほうじ茶だって。なにも入れてないから安心してよ」

う、疑っているワケでは無いですよ。

「なんなら口移しで飲ませてあげようか?」

「けっ結構ですっ」

唇だけちょっとつけてテーブルにグラス置いた。

「さて、と。この辺りかなあ?」

陳列されたモノを選別する各務先生。

なっ、なにする気だっ。

「あ、そうだ。天海サンは色白いから赤が映えるよね」

って、なにに使う気だっ!その紐っ!

「ふふっ。冗談だよお。縛ったりオモチャ使ったりしたらお腹の子に良くないかも知れないでしょ」

隣で笑う各務先生からお尻ずらして距離保つ。

にじり寄る各務先生。

逃げるあたし。

「もう、落ちちゃうでしょ?」

お尻半分ソファーから落ちたところで腰掴まれた。

「赤ちゃんになんかあったらどうすんの」

既に精神的にどうにかなりそうなんですけどおっ!

「もう…そんな怖がらないでよ。ちょっとお願いがあるだけなんだよ」

「へ…?」

「夕方言った事、俺マジなんだけどどう?」

夕方って、なんだ?

「離婚して俺と結婚しない?もちろん、子供は俺が育てるから」

なにを。

言ってんだ、コイツは。




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