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そのじゅういち
そのじゅういち
しおりを挟むバッグの中、携帯の振動がする。
尊だ。
慌てて携帯出したら。
「各務先生っ!?」
携帯ひったくられた。
「もしもーし」
「たけっ!むごっ…」
各務先生に口抑えられた。
なにしてくれてんだよってめえっ。
尊の声が聞こえる。
「ちょっと二人で遊ばせてよ。別に心配ないから」
今既に心配ですがっ!あたし誘拐されてない!?
「身体にキズが残るような事しないから、あ、もちろんお腹の子にも影響無い様にするから大丈夫だよ」
なんのハナシだあっ。
ばかやろおっみのりさん返せよっ。
スピーカーじゃないのにはっきり聞こえる尊の声。
「じゃあねえ。ばいばい」
尊の声が虚しく途切れた。
あたしの携帯自分のポケットに入れる各務先生。すぐに各務先生の携帯が鳴る。
「はいはーい、なに。松本氏?」
まっ、松本氏!?助けてくれっ、このど変態からあたしを救ってくれえっ。
「なんだ、ダンナそっちに行ったの?大丈夫だって言ってるのに。ちょっと遊ぶだけだよ、誘拐?人聞きの悪い事言わないでよ。気が済んだらちゃんとダンナのとこに返すよ」
気が済んだらってなんだあっ!?
「言っとくけど、警察は親父が揉み消すから無駄だからねえ。じゃあねえっ」
各務先生は。
「鬱陶しいから電源切っとこ」
にこやかに携帯しまって。なんかわからんが国家権力もあてにならんらしい。
「そんな顔しないでくれる?天海サン」
そんなもこんなもあたし、アンタに誘拐されとるんじゃっ!
「むがっ」
手に噛み付いたろか。
て、思ったけど。怒らせると怖いな。
「あ、ごめんね。息出来ないね」
そう言ってあたしから手離した。
あくまでもにこやかに。
「なにして遊ぼっかなあ」
車はになやら豪奢な家屋の立ち並ぶ地域へ。
一般庶民のワタクシなんぞが見た事も無い様なお屋敷の前で。
「こっちおいでよ、天海サン」
事も無げに各務先生が門開けた。
ここは一体なんぞ!?
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