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そのじゅう
そのじゅう-8
しおりを挟む「全く、何をお考えなんですかね」
不機嫌通り越した松本氏。
「うーん?お祝いのプレゼント渡しに来たんだけど。ただ渡すだけじゃつまんなかったから」
「天海先生もご夫婦で何やってらっしゃるんですか」
違いますっ。
「あたし達はっ」
「どうせ各務先生に脅迫されたんでしょう?」
「そっそうですっ!」
尊と二人思いっきり首縦に振った。
「脅迫なんかしてないよお。ちょっと俺の世間への影響力を教えてあげただけで」
「各務先生、そうやって人で遊ぶのはいい加減お止めになった方が良いと思います。それに天海先生ご夫婦も単純過ぎますよ。いくら我儘な各務先生でも他人の風評を貶める様な事まではなさいませんよ。引っかかっただけですよ」
えっ!?あたしら騙されたのかっ。
「んー。でも本気になるとやっちゃうかも」
どっちなんだっ。
「とにかく、あなた方はもう少し行動に責任を持つとか考えないんですか」
懇々と。
松本氏に説教され。
あたし、これで仕事無くなったらどうしよう。
「あ、ところで新妻は?話したかったのに」
微塵もそんな心配しない各務先生。
あたしと違って売れっ子だからな。
松本氏は。
「各務先生が悪ふざけなさるだろうと思って別の部屋取りました」
鼻で笑った。
「ちぇ。読まれてたか、俺もまだまだだなあ。ま、いいや。コレお祝い」
各務先生が例の紙袋松本氏に押し付ける。
なんとなく表情が和んだ松本氏がラッピング開けて。
すぐにいつもの怖い顔なった。
「お気持ちだけ頂きます。僕の趣味じゃないので」
紙袋ごと各務先生に突き返して。
「帰れええええええっ!!連載打ち切るぞっ!!!」
初めて見た。怒る松本氏。
「あははっ!松本氏も怒る事あるんだねえ」
ロビーでけらけら笑う各務先生。アンタが怒らせたんやろが。
ホント、仕事無くなったらどうしよう。
「あ、みのりさん。ちょっと待って」
尊がトイレの前で立ち止まる。
「いい?ここから絶対動いちゃダメだからね、俺が出てくるまでここにいるんだよ」
はいはい。ちゃんと待ってますよ。
と、思ったら。
「天海サン、こっち来て」
あたしの腕引っ張る各務先生。
「ちょっ、各務先生!?」
「いいからいいから」
腕を掴む力が強くて痛い。振りほどこうとしたら。
「しょうがないなあ」
「ひゃっ!」
抱かかえられて。
「なっ、先生!降ろしてっ!」
「暴れて俺が天海サン落としたらどうするの?大人しくしてよ」
て、タクシーに乗せられて。
「ダンナ抜きで遊ぼ」
各務先生がにっこり。
たっ!助けてえええええええええ、尊っ!!
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