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しおりを挟む俺がにっこりすりゃ大抵みんな喜ぶ。
大人も子供も。
そんで人気があった。
それは自分でわかってたけど。
俺はばあ様ん家で過ごすうちに笑わねえ子供になった。
にっこりしたところでばあ様には通じねえしな。
力で従わせる事覚えてからは、まあガキ大将だな。
学校の池によそで採ってきたザリガニ入れたり。
飼育小屋の網破ってニワトリ逃がしたり。
教室の水槽にカエルの卵入れたり。
イタズラばっかしてたな。
大人が困ったりびっくりしたりすんのが面白かった。
で、他のクラスのヤツとケンカばっかする。
俺が相手気に入らなくて、の時もあったけど。
俺の子分みてえなヤツらが虐められたりして俺に言ってくるから。
俺も自分の子分がやられんのは自分がやられたみてえでムカつくから。
相手が泣くまでグーで殴る。
そんな事ばっかしてるから、俺がなんかするとすぐ学校からばあ様に連絡いって。
ばあ様に連れて帰られて説教されて物置。
しょっちゅう入れられんだから俺の方も慣れちまうって。
しまいにゃ、暗いのいい事にぐーぐー寝てたからな。
たまに母さんが会いに来る。
その度に服やらお菓子いっぱい持って来る。
新しいゲームソフトやおもちゃ持ってくることもあった。
お菓子はどうせばあ様が管理するから好きなもんでもちょっとずつしか食わせてもらえねえ。
会った時は母さんはすげえ俺に構いたがる。
最初は俺もそれが嬉しかった。
たまにしか会えねえから、普段ばあ様としゃべらねえ分はしゃいでた。
でも俺を構うのは母さんの自己満。
一人息子ほったらかしてる後ろめたさ解消してえからなだけ。
いつくらいからか、子供なのになんとなくそう言うのがわかって。
真っ暗な物置に閉じ込められる度。
誰も俺を助けてくんねえ。
親父も母さんもばあ様も。
みんな嫌いだ。
大人は勝手だ。
俺は誰も信じねえ。
誰も好きになんか。
なってやるもんか。
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