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そのきゅう
そのきゅう-7
しおりを挟むテーブルの上に尊が投げ捨てた紙。
木立に囲まれた白い建物の写真と。連絡先。
小さく印字された診療案内にはホスピス・緩和ケアの文字。
山あいの所在地はきっと静かな場所なんだろな。
「みのりさん、そんなのいらないから」
あたしから紙ひったくって。
ごみ箱に捨てる。
「尊…」
お父さんが入院してるんだよ。
行ってあげようよ。
「俺は別に会いたくない。今さら見舞いなんて行きたくない」
「でも」
尊があたし抱っこする。
「親父なんて顔も覚えてないし…俺を置いて一人でいなくなった様なヤツ、俺には関係無いよ」
でもね、尊。
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だけどね。
だけどね、尊。
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残された時間を静かに。
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「行ってあげようよ。尊…」
尊がちょっと泣きそうな顔で。
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頷いた。
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