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そのきゅう
そのきゅう-2
しおりを挟む「うーん、水原さんちょっと体重増えてるねえ」
顔見知りなったナースさん?助産師さん?が体重計見て言った。
もうすっかり身体も良くなって。
明日は退院。
そりゃ増えますがな。
だってほとんど寝てばっかなのに。
毎日尊がおやつ作ってくるんやもん。
「適度に動いて、体重増え過ぎない様に気をつけてね」
むむ。
運動せねばならんのか。そう言えば、病院の中でマタニティヨガやってたな。
ああ、母親教室も参加しないとな。
尊とヨガの教室行ってみよ。
部屋戻ると尊がいない。
多分二階だろな。
ガラスの向こうに並んで寝かされてる赤ちゃん。
それを眺めては父親としての意識を確立させてるらしい。
二階に行ったら。
新生児室の前のソファーに尊。
その隣に。
知らない女の人。
素っぴんにパジャマやから入院してる人やろうけど。
素っぴんなのに美人。
笑いながら話してる二人。
誰?
「あ、みのりさん」
尊が笑顔で振り返った。
走って来てあたしの腰に手まわす。
「もう終わったの?」
「うん。体重増えてるて言われた」
「そうなの?気を付けないとね」
アンタがお菓子あたしに食べさすからじゃ。
さっきまで仲良さそうにしゃべってたくせに。
素っぴん美人にもう意識の無い尊。
それは失礼やろ。
と、思ってたら。
「尊の奥さん?」
美人が声かけてきた。
「そう。俺の大事な奥さん」
「そうなんだ」
知り合いなのか。まさか、元お客さん?
「コイツ、高校の同級生。赤ちゃんあそこにいるんだって」
なんだ、同級生か。
「あ、赤ちゃん可愛いですね。ママ、美人やし」
見ても産まれたばっかの赤ちゃんなんて顔もはっきりせんし。
うむ。自分の子供だとやっぱ可愛く見えるよな。
「どうだろ?ダンナに似てる気がするし、似たらかわいそうかもね」
本人が笑うんで付き合いで笑った。
面会時間終わって尊帰って。
後寝るだけ。
の、はずがドアを叩く音。
「こんばんは、ちょっと良い?」
昼間の同級生さん。何用ですか。
「あたし、瑞希って言うの」
「はあ…」
「尊の奥さんと話してみたくてさ。あたし、高校ん時尊と付き合ってたの」
ん?それは無いやろ。なにしろ日替わりの時代やし。
「ま、ちょっと違うか。セフレかな」
別にびっくりはしないけどな。だからどうした。
「高校出てからも続いてたよ。結婚したの言わなかったのね、アイツ」
なに、その言い方。結婚してからも会ってたみたいやん。
「あたし子供出来たから結婚したんだけどさ」
くすっと小さく笑って。
「ホントの父親は」
尊かもよ。
て、言った。
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