You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

文字の大きさ
上 下
74 / 240
そのきゅう

そのきゅう

しおりを挟む




産婦人科のご飯は。

美味しい。

ま、普通の病院と違うしな。

栄養取らにゃいかんしな。

はっきり言って、この病院選んだのはご飯の評判が良いからだ。

いや、もちろん先生の評判も良いんだけど。

決してあたしの食い意地が張ってるワケじゃございませんよ。

切迫流産しかかったあたし。

もう少し出血してたら危なかったらしい。

尊があたしにぶつかった自転車を探してる。

見つからんやろ。

相手見つけて殺す!

とか言ってるけど、もし赤ちゃんになんかあってたら尊の事やからなにがなんでも見つけ出して本気で殺りかねん。

「みのりさん。これも食べて」

「さっきご飯食べたばっかやし、おやつも来るから食べれんよ」

尊が毎日お菓子作って来る。

あたし太らす気かっ。

て、言うか会社はどうしたんだアンタ。

「みのりさんの側にいろって母さんも言ってるから」

瞳子さん、甘過ぎ。

面会時間いっぱいいる尊。

あたしの晩ご飯食べるの見届けて帰る。

「みのりさん。抱っこさせて」

帰る前は必ずベッド座って抱っこ。

「…ホントの事言っていい?」

どうしたのか、暗い声。

「どしたの」

「うん…」

あたしの肩におでこ乗せて。

「俺ね…」

ぼそぼそ言い出す。

「赤ちゃんが無事でホントに良かったと思ってる。でもね」

「うん」

「みのりさんが危ないかもって思ったら、俺からみのりさんを取り上げないで、って思った。赤ちゃんも危なかったのに…」

泣きそうな声。

「俺、父親失格かなあ…」

あたしを抱き締める。

なんて言っていいのかわかんない。

あたしの不注意でもあるし。

あたしだって、目が覚めた時の恐怖はいまだフラッシュバックする。

でもさ。

「大丈夫だよ。あたしも赤ちゃんも無事だったんだし、あんま考えてたらハゲるよ」

「みのりさん…」

うん?軽く言い過ぎかな?だって無事だったから良かったやん。

尊がほっぺたにキスして。

「みのりさんはわからないかも知れないけど」

あれ?やっぱ変な事言ったかな。

「みのりさんのそう言うとこに俺は救われるんだよ」

そう言ってキスした。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

処理中です...