You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

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そのはち

そのはち-10

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尊がいるから。

あたしはあたしでいられる。

尊があたしを安心させてくれる。

とりあえず今は眼の前の仕事をしよう。

ストック分の原稿急かされてるしな。

正直、今締切なんてあって無い様なもんやしな。書けるだけ書け、みたいな感じで。

「うーん…」

どうにも手元の資料だけじゃわからん。

刀の銘がはっきりせんな。時代背景から大まかにわかるけど。

こう言うとこきっちりしないと時代物は読者様のツッコミ厳しいからな。

図書館に資料探しに行くか。

天気も良いし、たまには運動がてら歩いて。

図書館で資料探しのついでに脇道逸れて民話集まで読んでたら閉館なった。

出たついでのついでに本屋寄ったらあれこれ立ち読み。

気が付くともうだいぶ遅くなった。

早く帰らんと尊が帰って来る時間。

急いで帰ろうと小走りになってたら。

「うわあっ!」

ブレーキの音と突っ込んで来た自転車。

「大丈夫ですかっ!?」

近くにいた人が慌ててあたしを起こしてくれた。

かなり派手にぶつかってすっ転んだあたし。

自転車は逃げやがったな。

「あ…大丈夫です」

親切な人にお礼言って家路を急ぐ。

尊に怒られるから。早く帰んないと。

でもなんだか。

歩く度に下腹部に鈍い痛み。

もう家が見えて来た。

痛みがだんだんひどくなって。

なんか。おかしい。

なんか出た。足に伝う血。

嫌だ、なにこれ。

玄関のドア開けたら。

「どこ行ってたの、みのりさん」

やっぱ怒ってるし。

尊の腕しがみついた。

「どうしたの?みのりさんっ!?」

お腹、痛いよ尊。

「みのりさんっ!!」

赤ちゃんが。

尊の声が遠くなる。

罰が当たったんだ。あたしが。

変な事考えたりしたから。

きっと。

そうなんだ。




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