上 下
61 / 239
そのなな

そのなな-8

しおりを挟む




「みのりさん、おはよう」

朝っぱらから舌入れんなっ。

ん?

眼開けたら薄目開けてる尊と眼が合った。

そのまま見つめ合ってキス。

んんん?

不思議そうな顔で唇離して。

「朝ご飯、プレーンオムレツにしよかな」

あたしの着替え出して。

「…どうしたの、みのりさん?」

どうした。こっちが聞きたい。

「…たっくんは?」

「なにそれ?」

「尊、階段から落ちてたっくんが出てきてっ」

尊がベッド座ってあたしのほっぺた撫でる。

「俺、階段とか落ちてないよ?大丈夫、みのりさん?」

な、なに?

階段落ちてたっくん出てきて。でも階段落ちてなくて。

「たっくん…?」

「なあに?」

にっこり。

や、やっぱたっくんなのか!?

混乱するあたし。

「そう呼びたいならそれでもいいけど。変なみのりさん」

え、尊なのか?

「尊…?」

「うん?」

尊にしがみついたら尊がぎゅう、して。

「もう…どうしたの、みのりさん?俺は朝からでも全然構わないけど…」

言いながらあたしベッドに倒す。

違うわっ!

「や…あん」

「みのりさん…可愛い」

それは紛れもなくたっくんじゃなくて尊。

朝っぱらから全開のえっち大好きえろ大魔王。

って、結局。全部あたしの。

夢オチかああああああっ!!

思いながら。

まともなご飯が食べられる。

と。ほっとした。

たっくんはあたしの夢の産物やったのかな。

尊がいないとあたしはご飯も食べられんし。

洗濯も出来んし。

もしたっくんがホントにいたら。

たっくんの為に頑張ろう、て思ったのかな。

うむむ。

あたしはなんでも尊任せやし。

それは尊がそうしてるからやけどさ。

あたしの深層心理に尊に悪い、とか。

思ってる気持ちがあるんかな。

ちと反省するか。

よし。した。

「みのりさん、階段気を付けるんだよ」

毎朝言われんでもわかってます。

あら。尊のシャツに糸屑が。

なんかデジャヴな気が。

取ってあげようと手伸ばした。

「なに?みのりさん」

振り返った尊が。

「あっ!うわあっ!!」

転げ落ちた。
 
「大丈夫っ?」

慌てて降りたら。

「う…いて…」

た、たっくん登場かっ!?

「こ…腰打った…」

たっくんは出現せず。

その代わり腰強打して。

治るまで。えろ大魔王は封印されました。

そして。

「あっ、みのりさん!火強すぎ!まだ水入れないでっ」

動けない尊指導の下。見事に黒焦げの目玉焼きが。

あたしの手によって。

完成した。

ちゃんちゃん。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

さくら🌸咲く

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:1

いや、あんたらアホでしょ

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,498pt お気に入り:688

【完結】今更魅了と言われても

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,171pt お気に入り:623

【完結】獅子は甘く初花を愛でる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:30

 だから奥方様は巣から出ない 〜出なくて良い〜

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:60,280pt お気に入り:2,563

潔癖の公爵と政略結婚したけど、なんだか私に触ってほしそうです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:717pt お気に入り:871

痴漢の犯人、元彼だった件。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:262pt お気に入り:387

2人でいつまでも

BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:14

処理中です...