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そのろく

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別に、あたしにだって彼氏くらいおったわ。

「なんてヤツなの」

「は、原田くん」

「どんなヤツ」

「バスケ部で…爽やか系」

ベッドであたしの手、両手で押さえて。

「それから?」

なんかあたしが浮気でもしたみたいやんか。

「…ソイツとセックスした?」

「してないし」

「じゃあ、どこまでしたの?」

だからなんの尋問や!

「いや、まあ。キスくらい…」

アンタ、自分は日替りやったくせに。

尊はあたしにキスして。

「みのりさんは俺の運命のひとなんだから。もしその時に会っても絶対俺の事好きにならせてたから!」

過去に嫉妬してどうするんだ。

泣きそうな顔するから、コトをいたしてしまった。

満足してあたし抱き締めて眠る尊。

まあね、あんな事やらこんな事やらしてる今から見りゃ。

ちょっと唇触れ合うだけで心臓ばくばくして。

プリミティブなお付き合いやったな。

「うーん…はらだあ…みのりさんは俺んだっ…」

眉間にシワ寄せて苦悶の表情。

なんの夢見とんじゃ、コイツは。

翌朝。

「じゃあね、行ってくるからね。愛してるよ、みのりさん」

いつもよりしつこいキスして会社行った。

さて。あたくしもお仕事。

締め切りと単行本の改訂が重なってるから、ちと忙しい。

ここんとこ集中出来んかったからな。

今日は一気にやってしまって。と。

インターフォンが鳴る。

おとなりのなんとかさん。

また、忙しい時に来やがって。

「おはようございますう。今度ね、町内会でお花見があるんですけどお」

「あー、ウチは主人も忙しいんで無理ですねえ」

毎度のやり取り。

また玄関に居座る気か、オバハン。

またインターフォンが鳴る。

「あら?お客さんかしら?」

勝手にドア開けるなっ!

「どうも!九条建設と申します。本日はお宅のリフォームについて…」

いらんわ、建てたばっかじゃ!

「あらあ、私違うんですよ。コチラが奥さん」

なんとかさん、勝手にセールス招き入れんなっ!

「あ、どうも!私、九条建設の原田と…」

ん?はらだ?

「あれっ…二宮?」

「は、原田くん…?」

なんと言うタイミングの再会。

そこにいるのは、まさしく。

高校時代の彼氏。

「あら、お知り合い?」

なんとかさんがあたし達を交互に見て。

言った。



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