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そのよん

そのよん-7

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「俺、みのりさんが好き」

倉庫街の海。

汚かったな。

あん時ゃ、絶対からかわれてると思った。

綺麗な顔してさ。

「みのりさん」

あたしは怒ってんだからね。

キスなんかさせてやんないからね。

ざりざり。

人のほっぺた舐めないでよ。

ざりざり。

ん?ざりざり?

にゃー

ざりざり。

おや、てっちゃんでないの。

そうか、夜中に帰ってきて。

久々にてっちゃんと一緒寝たんだっけ。

にゃー

「んーっ!てっちゃん!」

てっちゃんのもふもふ堪能して。

「朝ご飯いこうねー、てっちゃん」

台所に行くと。

「なに、アンタ!?いつ来たん!?こっそり家入るなやんて、不法侵入やわ」

ちょっと。一人娘が実家戻って来てんやから、も少し心配するとかないん!?

てっちゃん降ろしてテーブルつく。

「なにしてん?」

おかんの不思議そうな顔。

「なに、て。朝ご飯」

「は!?アンタ嫁いったくせにまだお母さんにご飯作らす気かっ!?」

だってさ。

ご飯はいつも自動的に出て来るんやもん。

「まったく!尊くんはどんだけ甘やかしとるんっ」

ぶつぶつ嫌み言われながらも。

おお。懐かしの。

トーストと目玉焼き。

「あれ?おとんは?」

「今日はゴルフやて。朝早う出てった」

休日も接待ですか。リーマンは大変ですな。

尊はそんなん一切しないからな。

休みは朝から晩まであたしにくっついてまわるし。

「で、アンタ何しに帰って来たん」

「尊が浮気したから」

「はあ?なに言うとん。尊くんがするワケないやろ。なに寝惚けとんの」

む。実の娘より婿の味方する気か。

「あの尊くんが浮気て。アンタ浮気される様な事したんやないの」

くそう。

親のくせに。我が子が可愛くないんか。

「仕事する」

「コーヒーはいかんよ、お茶にしなさいよ。やないとお母さんが尊くんに怒られる」

はいはい。

尊のヤツがあれこれ制限かけとるからな。

酒もだいぶ長い事飲んでないな。

まあ、赤ちゃんのためやし。

尊はいつもあたしの事が一番で。

あたしがちょっと怒ったくらいであんな泣いたりしてさ。

浮気とか。

ましてや、龍二くんの彼女になんかするとか。

無いやろ。

ま、あたしも冷静さに欠けたな。

でもついでなんで。

ヤツが反省して迎え来るまで放っとこ。

「みのりーっ!」

おかんが呼ぶ。

おや、意外と早く来たな。

と、思ったら。



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