You Could Be Mine ぱーとに【改訂版】

てらだりょう

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そのに

そのに-10

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「うーん…」

パソコンの前で頭抱えるあたし。

仕事が進まん。

どうしてもイメージが湧かん。

主人公が主家の墓に行く場面。

墓の写真あるんやけど。主人公がそこまで歩いて行く時の心情が、いまいちイメージ出来ん。

直接見た方がいいな。

「萩!?取材に!?」

晩ご飯食べながら尊に言った。

「うん。ちょっと行くだけやから、日帰りでいいし」

「ダメだよ。一人で行ってなんかあったらどうするの」

まあ、言うと思ったけど。

「誰かに頼んで写真撮ってきてもらえばいいでしょ」

「写真と実際見るのとイメージ違うし。こう言う時は見た方が文章出てくるもん」

尊がため息ついて。

「みのりさんの仕事はわかるけど。今は赤ちゃんもいるんだし。それに俺の収入で充分やってけるんだから」

尊は優しくてなんでもしてくれて。

「みのりさんがそんなに一生懸命仕事する必要ないんだよ?」

いいダンナさんだから。

尊の言う事は聞かないと。

「…ごちそうさま。もう寝る 」

「みのりさんっ」

尊はあたしの事一番に考えてくれて。

ベッド転がったら。

なんか涙出てきた。

小説は。収入がどうとかやなくて。

あたしの大事な仕事で。

あたしの一部で。

「みのりさん…」

ベッド座ってあたしの髪撫でる。

「ごめん…言い過ぎたね、ごめんね」

尊の言う事は聞かないといけないと思うけど。でも。

「俺はみのりさんが心配だから…」

わかってるけど。でも。

「俺が悪かったから…泣かないで。俺はみのりさんの仕事の事も全部含めてみのりさんを愛してるから…」

でも。

「明日会社休み取るから。一緒行こうね…だからもう泣かないでよ…」

「うん…」

尊と結婚して。夫婦ゲンカしたの。

初めてやな。

髪撫でられながら。

思った。


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