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そのに
そのに-7
しおりを挟むホテルのユニットバスはさすがにせまいんで。
久々に一人で入った。
「また髪乾かしてない」
ベッドに入ってきた尊が髪触ってぶつぶつ。
「明日どうせ美容室行くし」
「もう。面倒くさがりなんだから、みのりさんは」
髪触りながら耳にキスする。
「尊。明日忙しいからパス!」
「ん。ちょっとだけ」
ちょっとだけてなんやっ!
「やん…もおっ」
「みのりさん…俺の事愛してる?」
なんで不安そうな顔するんよ。
「俺だけ愛してる?」
そうか。冬馬くんか。
「尊だけ愛してるよ」
バカたける。今さら尊以外いないのに。
「じゃあ…俺を欲しがってよ。いっぱい俺が欲しいって言って…?」
ホントに、もう。明日の為に体力温存しときたいんやけど。
「尊が欲しいよ…」
安心した様に笑う。
付き合ってる頃からいまだに変わらない。
抱き合って。眠って。
「みのりさん、着物自分で着れるのっ!?」
美容室行く前にお着替え。
帯締めすぎるとお腹きついからな。
「みのりさん…」
着物のあたし見てため息つく。
ほほほ。あたしのウツクシサに感動するがよい。
「後で…俺が脱がせていい?」
なに考えとんじゃ。 変態め。
美容室で髪とメイクしてもらって。
「みのりさん…可愛い」
両手で頭固定されるあたし。
止めろっ!恥ずかしいっ!
周り無視してディープなキスされるあたし。
ホントにこの男は、もおっ。
尊と二人、書店のある百貨店のイベント会場へ。
「お疲れ様です!」
「…お疲れ様です」
既に会場入りしてる松本氏と白谷氏。
「いやあ!先生お着物もお似合いですねえ!昨日は可愛らしい方だなと思いましたけど、こうして見るとお綺麗ですねえ!ね、松本さん」
「は…ええ」
反応鈍いな、松本氏。なんか変かな、あたし。
「あたし、おかしくない?」
尊に聞いたら。
「みのりさんが普通に人間なのがおかしい。神様のいたずらかな」
ワケわからん答え返ってきた。
書店の店長さんやらスタッフさんやらと挨拶して。
いよいよ。
ドキドキすんな。ホントに人くんのかな。
あたしのファンなんてホントにいるんかな。
会場はざわついてて。
あたしは。
自分の書いた小説を。
こんなたくさんの人に読んでもらえてるんだ。
ちょっと。
泣きそうなった。
応援ありがとうございます!
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