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そのいち
そのいち-8
しおりを挟む朝ご飯食べてると。
キッチンからモーター音。
尊がなんかやっとる。
朝っぱらから何事だ。
「なにしてんの」
見に行くと。
生クリーム泡立ててる尊。
「今日涼香さん来るんでしょ?」
「うん」
今日涼香が遊び来る。午前中に病院行ってお昼過ぎくらいなるって言ってた。
「冷蔵庫にバナナのシフォンあるから。生クリームと一緒に出して」
昨夜キッチンでなんかしてるなと思ってたら。
夜中にケーキ焼いてたのか。
マメなヤツ。
「紅茶はそこに用意してるから」
ティーポットとカップとオレンジペコの缶。どこまでマメなんだ。
「お湯沸かす時気をつけてね。お湯ポットに入れる時火傷しない様に気をつけるんだよ?」
やから、あたしだってそのくらい出来るわっ。
尊のほっぺたに生クリームついてる。
「尊」
シャツの袖つんつんしたら。
「どうしたの?」
尊のほっぺた舐めた。
「…なに?」
なんでホホ染めるんや。
「クリームついてたよ」
「……」
尊が慌てて。生クリームのボウル置いて。
指でクリーム掬う。
をい。まさか。
ほっぺたにクリームつけて。
「も。もっかいやって」
アホかあ!!
仕方なく。ぺろ。
「もっかい!」
ぺと。
ぺろ。
延々続くクリーム地獄。
いい加減にせんかあ!!
あたしがキレたとこで終了。
玄関で。
自分が心ゆくまでキスして。
「じゃあ、行ってくるからね。お昼ご飯ちゃんと食べてね」
「はいはい」
「お湯沸かす時気をつけるんだよ」
さっきも聞いたし。
「みのりさんが火傷したりしたらどうしよ…俺一回帰って来ようかな」
お湯沸かす為にかい!
「どうしよ…」
「お湯沸かすくらい出来るし」
とっとと。
「会社行けえ!!!!」
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