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そのいち
そのいち-5
しおりを挟む家に帰ると。
「どこ行ってたの。みのりさん」
ち。もう帰ってたか。
「実家」
「なんで黙って行くの」
腕組みして上から見下ろすな。
怖いやろ。
「すぐ帰るつもりやったし」
「メールしてよ、ちゃんと。出かけててなんかあったらどうするの」
はいはい。
「次からするよ」
「それと。車で行ったでしょ。運転は危ないからダメって言ってるでしょ!?なんかあったらどうするのっ!?」
「……」
「今度から行きたいなら前の日に言って。朝送るから」
「急に行きたくなったんやもん」
「そう言う時はタクシー使って」
「わかった」
組んでた腕ほどいて。
あたしのほっぺた触る。
「おかえり。みのりさん」
ここでおかえりのキス。
唇離して。
「じゃあみのりさん。ただいまのキスして?」
もっかいすんのか。
めんどい。
でもね。尊が言うならね。
尊の唇にキス。
毎回舌入れんなよ。
「今日のご飯カルボナーラだよ。みのりさん好きでしょ」
にっこり。
「わあい!」
あたしが喜ぶと。
「みのりさん、可愛い」
またにっこり。
もう見慣れたけどな。いい加減。
ご飯食べて。
後片付けくらいは一緒にする。
「みのりさん来て」
ソファーで呼ぶ。
足の間座ったら背中からあたしを抱き締めて。
顎、肩にちょこんと乗せて。
一日あった事話す。
昔は仕事の事話さんかったけど。
今はたくさん話してくれる。
「愛してるよ」
あたしを抱き締めて。
優しくて。
なによりもあたし大事にしてくれて。
素敵な。素敵な。
ダンナさま。
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