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そのいち
そのいち-1
しおりを挟む人間は考える葦である。
パスカルさんが言ってます。
弱い存在でも考えるからうんたらかんたら。
知らん。
あたし哲学ようわからん。
葦だろうがなんだろが。
プロットが。
出来ねえんだよおおおお!!
仕事部屋で頭抱えても出来んので。
紙とシャーペン持ってリビングに出た。
「よっこらせっ」
ソファーに背中からダイブ。
最近ね。
よっこらせとかさ。
つい口から出てくる。
オバハンか。
まあね、身体重いしね。
なんてったってさ。
身体ん中に人間一人いるんだよ。
凄いよな。
生命の神秘。
ああ。プロット作んなきゃ。
松本氏に急かされる。
ソファー気持ち良い。
高いからな、この応接セット。
尊が座り心地こだわったからな。
あたしの仕事部屋の椅子も人間工学のなんちゃら、てこだわってたもんな。
なんだかな。
「ただいま、みのりさん」
おや。
だんなさまのお帰りだ。
スーパーの袋提げて。
買い物は仕事帰りに尊がしてくる。
「おかえりい」
ソファーに座ったまま言うと。
「みのりさんっ」
ふくれる。
はいはい。
立ち上がっておかえりのキス。
いっつも思うんやけどさ。
軽くでよくない!?
おはようと行ってらっしゃいとおかえりとおやすみ。
なんでディープなんじゃ。
「あっ!またお昼ご飯残してるっ!」
しまった。片付けんの忘れてた。
「ちゃんと食べないと赤ちゃん育たないよっ」
朝ご飯のついでにあたしのお昼ご飯作って会社行く尊。
「晩ご飯魚だからね、ちゃんと食べてよ」
帰ったら晩ご飯作る尊。
あたしだって。
少しは作れる様になった。
カレーとかシチューとか鍋とかさ。
材料切って煮るだけだな。
なんだかな。
「みのりさん、ご飯出来たよ」
なんでもしてくれる優しいダンナさん。
幸せ。って。
こんな感じ。
なのかな。
新しいお家は庭付き二階建て。
なんと。
リビングに暖炉あるんですよ、奥様!
飾りだけどな。
一階にあたしの仕事部屋と客間の和室。
二階に寝室と子供部屋用の部屋がある。
「今日は鱈のみぞれ煮。食べられる?」
「うん」
つわりそんなひどくなかったけど。
ようやくおさまった。
あたしよりもさ。
尊がひどかった。
なんでオマエがつわりくるんじゃ。
付き合いのいいヤツ。
自分の経験活かしてつわり中でも食べられる料理研究してた。
いっその事料理本でも出しゃいいのに。
松本氏に相談してみよかな。
尊の顔売りにしてさ。
「みのりさん、仕事は?」
「まだ終わらん」
みぞれ煮美味しいな。
「食べたらちょっと仕事する」
尊がふくれる。
仕事はスケジュール立てて昼間のうちにやって。
夕食後は夫婦の時間。
て尊が決めた。
いんだけどさ。
あたしもそれなりに時間決めて書ける様になったし。
「今日はも少し仕事する」
「わかった。でもお風呂の時間までだからね」
はいはい。
家の事ほとんど尊がする。
洗濯は。
「洗濯物干してて転んだらどうするの」
掃除は。
「掃除機持って階段登り降りして転んだらどうするの」
なんて素敵なダンナ様。
文句言ったらばち当たる。
だからさ。
尊の言う事は聞かないとな。
こんだけあたしの事考えてくれてんだから。
「みのりさん。お風呂入るよ」
呼びにきた。
仕事は明日にすっか。
ただなあ。お風呂はなあ。
「っ!やあんっ」
「洗ってるだけなのに感じちゃうの?みのりさんイヤラシイね」
やめろってば。この。
ドSがあああああああああ!!
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