You Could Be Mine 【改訂版】

てらだりょう

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You Could Be Mine

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いつもの様に同伴の客と軽くメシ食って。

店入って客のとこ行く前にみのりさんに電話。

「仕事頑張ってね」

俺が言うと。

尊も頑張ってね。

そう言ってくれるからテンション上げられる。

「みのりさん凄いっすね」

龍二が言う。

「ネットで時事ネタ見てたらみのりさんのニュースありましたよ」

「え?マジ?」

慌てて携帯でニュース見たら。

篁文芸賞に天海瞬。純文学界期待の女流作家。
デビュー作以来独特な世界観と将来性を感じさせる文章力が高評価を受けていた…云々。

なんか難しいな。

いつの間に取材されたんだか。みのりさんのコメントもある。

私の頭の中には常に欲求がある。それは自分自身の身の周りにあるどんな些細な事でさえ、自身が感じた事を象にし伝えたいと言う欲求。貪欲ですらあるそれは……云々。

わかんねえ。

みのりさんって案外難しい事考えてんだな。

普段面倒くさがりでアバウトで大雑把なのに。

「尊さん、中澤様ですよ。5番テーブルです」

ボーイが呼びに来た。

指名被ったな。まあ、よくある事。

同伴の客はしばらくヘルプ入れといて。

「こんばんは。黎子さん」

指名の客につく。

「久しぶり、尊」

「久しぶりだね。忙しかったの?」

黎子さんは結構古い馴染みの俺の上客。

トシは母さんくらいだし、俺を息子みたいな感じに見てっから付き合いやすい。

そう言えば若い頃出版社にいたんだよな。

今は病院の院長婦人だけど。

「ねえ黎子さん。篁文芸賞って凄いの?」

「あら。尊が文芸賞知ってるなんて意外ね」

黎子さんが笑った。

「凄いわよ。新人作家に与えられる四大文学賞の一つよ」

へえ。そうなのか。

そんな凄い賞なのか。

みのりさん、すげえ。

「今度の受賞者は良いわね。天海瞬」

膝の上で指組みながら、黎子さんが言った。
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