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そのじゅうよん

そのじゅうよん-17

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尊と二人で瞳子さんに会いに行った。

瞳子さんは大体いつも同じお店にいる。

ビルの一階と吹き抜けの二階がお店。

三階が倉庫で四階が会社。

その上はテナント。

ってかさあ。

このビル自体が瞳子さんの会社のもんとか。

初めて知った。

実は尊って。

お坊っちゃまやったんかっ。

事実知ってちょっと焦る。

四階の会社は普通に会社で。

当たり前か。

社長室あるよ。

すげ。

ビビるあたし。

「みのりちゃんっ」

また瞳子さんに抱きつかれた。

「母さん、みのりさんは俺のなんだから」

尊が割り込もうとする。

「いいじゃない。みのりちゃんは娘みたいなものなんだから」

瞳子さんの言葉に尊と顔見合わせて。

二人でちょっと照れ笑い。

「なあに?」

不思議そうな瞳子さん。

「うん」

照れる尊とか見たことないや。

「どうしたのよ?」

「みたい、じゃなくて娘になるよ」

「え?」

瞳子さんがあたしから離れて。

「ええーっ!?」

叫んだ。

「母さん、うるさいよ」

尊が言ったら瞳子さんは慌てて両手口に当てて。

尊とあたしを何回も交互に見て。

ぽろり、と。

涙零した。

「…ホントに?」

尊見て言った。

「うん」

「ホントなの?」

「うん」

「みのりちゃんと尊が?ホントに?」

「そうだよ」

ちょっとイラつく尊。

「俺とみのりさんと結婚するの!」

結婚。

改めてその言葉聞いて。

顔赤くなる。

そうだな。あれ、プロポーズだもんな。

結婚するんだよな。 

「みのりちゃんっ!」

もっかい瞳子さんに抱きつかれた。

瞳子さんが知り合いのウェディングプランナーさんを紹介してくれる、って言って。

何回も。

「良かった…」

って言った。

さて。

まあ、瞳子さんはいいとして。

問題はウチだよな。

ウチの親尊と会った事無いしな。

「もしもし、おとん?」

とりあえずおとんの携帯に電話。

『なんや』

「あのさあ。土曜日休みやろ」

『なんや?彼氏でも連れて来るんか』

「うん」

『………』

「もしもし?おとん?」

ツーツーツー…。

切れた。仕事中にかけたんまずかったかな。

まあ、いっか。

アバウト過ぎるあたし。

「みのりさん。ネクタイこれでいいかな」

「いんじゃない」

なんでも。

尊のスーツは昼間のお仕事用。

んでもそこはアパレルの坊ちゃまらしく。

高そうなヤツやな。

「みのりさんを下さい、お前みたいなヤツに娘はやらん、僕は娘さんを愛してるんですっ!」

なんか一人で脳内シミュレーションしとる。

「お父さんにこう言われたら…いや、それでも愛してます!うん、それでいこ」

あたしの車運転しながらぶつぶつ。

ウチについて。

おかんのかっこにびびった。

いつ買ったんや、そのどピンクのワンピース!

イケメン好きのおかんは尊見て。

「いやあ!」

叫んだ。

「みのりっ」

リビング行こうとしたあたしを台所に引っ張り込む。

「なにっ!アンタなにっ!どこであんなん見つけたんっ!!」

ま、それは置いといて。

リビングのソファーで向かい合わせ座って。

なんかお尻がむずむずすんな。

座り慣れたソファーなのに。

落ち着かん。

あれやこれや質問責めのおかんに、にこやかに応える尊。

なんか居心地悪そうなおとん。

おかんの質問責めが一息ついて。微妙な静寂。

尊がちょっと息吐いて。

おとんに。

「みのりさんを下さいっ」

頭下げた。

「……アンタ」

お。微妙なおとんの反応。

娘はやらん!

とか言ったりしてな。ドラマみたいやな。

「いいんですか?」

なにそれ。

「…は?」

尊がきょとんとする。

「こんなん嫁にしていいんですか?料理は出来んし家事もまともに出来んし。甘やかしとるからなんも出来ませんよ?もらってくれたら大助かりやけど、返品ききませんよ?」

ずっこけるあたし。

尊が笑って。

「一生返品しません」

おとんに言った。




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