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そのじゅうよん
そのじゅうよん-5
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ランド行こうぜ。
冬馬くんがメッセージしてきた。
松本氏と打ち合わせがあってまた東京行く。
今回はただの打ち合わせじゃない。なんと。
翠廉賞と言う、大層な賞の候補なった。
打ち合わせは発表当日。
と言うより、松本氏と二人で発表を待つ。
ドキドキもんやな。
あたしは前乗りで前日に東京行く。
冬馬くんの休みが取れたんで、朝一の飛行機で行って一日遊ぼう。
て、計画になった。
空港まで冬馬くんが迎えに来た。
「冬馬くん、車買ったん?」
「うんにゃ。これ加須木の。借りた」
なるほど。
それでskid rowが流れとるワケか。
「二宮あ!これつけろ!」
「嫌だ!恥ずかしいわ!」
ネズミの耳のカチューシャをあたしに突き出す冬馬くん。
「つけろって!」
「嫌じゃ」
逃げるあたしを追いかける。
なんだか、普通にじゃれあったりしてるのがおかしかった。
結局捕まってつけさせられた。
「うへえ。恥ずかしい」
「ははっ。似合ってるぜ」
冬馬くんが笑いながら。
「可愛い、可愛い」
頭撫でた。
チクリ、と。
胸に痛み。
可愛いって言って。
頭撫でる。
なにか。
なんだろな。
「二宮行くぞお」
冬馬くんがあたしの手引っ張った。
何気なく。
冬馬くんと初めて。
手、繋いだ。
「さっびーっ!!」
「冬なんやから当たり前やっ!」
冬場の行列はツラい。
まったくさ。
冬なのに。
しかも平日なのに。
どっから湧いてくんだろな。
て、くらい並んでる。
冬馬くんとあたしの手は。
繋がったまま。
「芸能人は顔パスでいーだろお!?」
ぶつくさ言う。
でも冷たい風があたしに当たらない様に。
さりげなく隣にいる。
「また写真とられたらどうしよう」
冬馬くんは帽子被ってるけど。それはまったく変装の意を成してなくて。
どっからどう見ても。
桂木冬馬。
「あ?いいんじゃね、別に」
あっさり言った。
二人きりで初めて遊んだ。
行列の待ち時間。
冬馬くんはずっとあたしの手、離さず。
「お前が東京に住んだらさ。俺が電車の乗り方教えてやるわ」
とか言いながら。
いっぱい笑ってた。
久しぶりに。
楽しかった。
あたしの泊まるホテルまで送る、って言うから。
甘える事にした。
もう。いいよね。
あたしは。
冬馬くんを好きになっても。
ホテルのロビーで。
「荷物、部屋まで持ってってやろうか?」
いいんだよね。
「…うん。ありがと」
冬馬くんがあたしの荷物、部屋まで持ってきてくれた。
「今日ありがとね。楽しかったよ」
荷物置いた冬馬くんに言った。
静かな部屋で。
冬馬くんは。あたしに向き直って。
「二宮」
少し目線見降ろしてまっすぐにあたしを見る。
前にいたずらされた時とは違う、真剣な顔。
冬馬くんの綺麗な顔が近づいて。
唇が。
重なる。
一度唇離して、もう一度。
今度は、あたしのほっぺた両手で包んで。
優しいキス。
俺様のくせに。
優しい人だと。
唇を離して。
あたしを抱き締めた。
「二宮、俺はお前が好きだ」
瞬間。
冬馬くんがメッセージしてきた。
松本氏と打ち合わせがあってまた東京行く。
今回はただの打ち合わせじゃない。なんと。
翠廉賞と言う、大層な賞の候補なった。
打ち合わせは発表当日。
と言うより、松本氏と二人で発表を待つ。
ドキドキもんやな。
あたしは前乗りで前日に東京行く。
冬馬くんの休みが取れたんで、朝一の飛行機で行って一日遊ぼう。
て、計画になった。
空港まで冬馬くんが迎えに来た。
「冬馬くん、車買ったん?」
「うんにゃ。これ加須木の。借りた」
なるほど。
それでskid rowが流れとるワケか。
「二宮あ!これつけろ!」
「嫌だ!恥ずかしいわ!」
ネズミの耳のカチューシャをあたしに突き出す冬馬くん。
「つけろって!」
「嫌じゃ」
逃げるあたしを追いかける。
なんだか、普通にじゃれあったりしてるのがおかしかった。
結局捕まってつけさせられた。
「うへえ。恥ずかしい」
「ははっ。似合ってるぜ」
冬馬くんが笑いながら。
「可愛い、可愛い」
頭撫でた。
チクリ、と。
胸に痛み。
可愛いって言って。
頭撫でる。
なにか。
なんだろな。
「二宮行くぞお」
冬馬くんがあたしの手引っ張った。
何気なく。
冬馬くんと初めて。
手、繋いだ。
「さっびーっ!!」
「冬なんやから当たり前やっ!」
冬場の行列はツラい。
まったくさ。
冬なのに。
しかも平日なのに。
どっから湧いてくんだろな。
て、くらい並んでる。
冬馬くんとあたしの手は。
繋がったまま。
「芸能人は顔パスでいーだろお!?」
ぶつくさ言う。
でも冷たい風があたしに当たらない様に。
さりげなく隣にいる。
「また写真とられたらどうしよう」
冬馬くんは帽子被ってるけど。それはまったく変装の意を成してなくて。
どっからどう見ても。
桂木冬馬。
「あ?いいんじゃね、別に」
あっさり言った。
二人きりで初めて遊んだ。
行列の待ち時間。
冬馬くんはずっとあたしの手、離さず。
「お前が東京に住んだらさ。俺が電車の乗り方教えてやるわ」
とか言いながら。
いっぱい笑ってた。
久しぶりに。
楽しかった。
あたしの泊まるホテルまで送る、って言うから。
甘える事にした。
もう。いいよね。
あたしは。
冬馬くんを好きになっても。
ホテルのロビーで。
「荷物、部屋まで持ってってやろうか?」
いいんだよね。
「…うん。ありがと」
冬馬くんがあたしの荷物、部屋まで持ってきてくれた。
「今日ありがとね。楽しかったよ」
荷物置いた冬馬くんに言った。
静かな部屋で。
冬馬くんは。あたしに向き直って。
「二宮」
少し目線見降ろしてまっすぐにあたしを見る。
前にいたずらされた時とは違う、真剣な顔。
冬馬くんの綺麗な顔が近づいて。
唇が。
重なる。
一度唇離して、もう一度。
今度は、あたしのほっぺた両手で包んで。
優しいキス。
俺様のくせに。
優しい人だと。
唇を離して。
あたしを抱き締めた。
「二宮、俺はお前が好きだ」
瞬間。
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