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そのじゅういち
そのじゅういち-8
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それは、尊が気付いた。
「みのりさん…可愛い」
キスした後のあたしの顔は、うるうるして可愛いそうだ。
あくまで尊に言わせると、やけどね。
「みのりさんが好きなの誰か、言って…?」
耳元にキスしながら尊が言う。
「…尊が好き」
そう答えると、微笑んでおでこにキスする尊。
「みのりさん、大好き…」
毎日、好き、って言葉を尊は欲しがる。
こんだけ一緒にいたら言わなくてもわかるだろ。
そう思うけど。
尊は一日に何度も聞きたがる。
尊にとっては、確認する事は大事な事なんだろな。最近わかるようになった。
あたしは尊に、特別な事をしてあげるワケじゃない。
未だに、なんでそんなにあたしの事、好きなのかわかんないと思う事ある。
でも、尊があたしの事好きでいてくれる分、あたしも尊の事好き。
こないだそう言ったら、俺はみのりさんが思ってる以上にみのりさん好きだから、て言い返された。
尊が前に比べて変わった。
て、瞳子さんや龍二くんが言うけど。
あたしはなんにもしてないよ。
だって、尊は最初から優しくてあたしの事、可愛いって言うもん。あたしにくっついて離れんし。
それは変わんないもん。
だから、えっちすんのも尊にとって愛情表現なのはわかってる。
わかってるから、やってんだよ。
いや、気持ち良いんだよ?実際。
毎日でも、一日一回とかに…なんないだろうな。
コイツのこの精力はなんなんだろ。
どっからくるんだ。しかも、酒飲んでて。
隠れて変な薬飲んでんじゃねえだろうな?
……ホントに飲んでねえだろうな?
まあ、とりあえずそんな事考えたりする事もあるけど。
「ねえ、みのりさん?」
「んー?」
気だるさの混じる声。尊の左腕に抱かれる、あたし。
「ちょっと思ったんだけど」
「なにを?」
「みのりさん…」
尊が、髪を撫でる手を止めた。
「…今月」
尊が息をついた。
「生理、きてないんじゃない?」
……そうだっけ?
記憶を辿る。あったような、ないような。
結構アバウトやからね、あたし。
でも、大体決まった周期でくる。不規則じゃない。
「きてないっけ?」
「無いと思うよ」
尊が枕元の携帯を手にする。
スケジュールの画面を開く。
毎日お客さんのアポで埋まってるスケジュール。
忙しいな、さすがナンバーワン。
尊は先月の画面を表示させる。
日付の下の情報。アポの書き込みが並ぶ。
その中に、何日間か連続して表示されるハートマーク。
なんと、この尊さんて人は。
あたしの生理日を記録しておられる。
本人がアバウトなのに。
しっかりした彼氏でらっしゃること。
尊は日付からあたしの生理日を計算して
「やっぱ遅れてるよ」
あたしの顔を見た。
「今日で、五日遅れてるよ」
そうか。五日遅れてんのか。
でも、まあ。
たまにそう言う事あるしな。
一週間きてないならおかしいと思うけど。五日ならな。
まあ、大丈夫だろ。
あくまでもアバウトな、あたし。
大体、きっちり28日周期ってワケでもないし。
「…みのりさん」
尊があたしを見てる気配がする。
呼ぶ声に、顔を上げた。
ちょっと、赤くなったほっぺた。笑いだしそうに口角が上がってて、唇が震えてる。
なんだ?なにが。
そんなにおかしいんだ?
「ねえ、みのりさん」
右手であたしのほっぺたを撫でる。
「これ、ってもしかして…」
尊が完全に笑顔になった。
だから、なにがおかしいんだよ?
「みのりさんっ」
尊があたしを抱き締めた。
「ってーな!」
顔面が尊の胸で押し潰された。
「あっ。ごめん、嬉しくてつい…」
嬉しい?なにが?
「みのりさん」
「うん?」
なんで笑ってんの、尊?
「赤ちゃん、出来た!?」
は……………………………?
ちょ。
「うわあ!凄いね、みのりさん!」
瞳を輝かせる尊。
ちょっと待てえい!
「少し遅れてるだけやん」
「でもみのりさん、大体遅れても三日とかだよ?」
そうなんだけどさ。
なんであたし以上にあたしの身体に詳しいんじゃ。
「出来たのかなあ。出来てるといいなあ」
凄いキラキラの尊。
「あ、検査って自分で出来るんだよね、ドラックストアに売ってるヤツ」
ネット繋いで、なにやら調べ出した。
「検査薬ってどのくらい遅れてたら使えるのかなあ」
やら。
「へえ。生理の予定日の一週間後だって」
あげくに。
「妊娠してたら四週目だって!みのりさん、妊娠一ヶ月かも!」
あたしを置いて先走る。
いや、ちょっと待てよ。
出来てるかも、ってのは確かにあるかもしれんが。
「みのりさん、大変!」
なにがだよ。
「妊娠初期ってあんま動いちゃダメだって!激しい運動しちゃダメだよ?あ、運転も危ないかなあ?」
「いや、まだわかんないし」
未確認情報であたしを制限しないで下さい。
「みのりさんっ!」
突然、あたしの肩を掴む。凄く困った顔で。
な、なによ。その顔。
「セックスって激しい運動かな!?」
力、抜けるわ。
なんの心配しとんじゃ、オノレは。
そんな事よりもだよ。
妊娠、て。
もしホントだったら大変な事だぞ?
そんな、喜んで。よろこぶ。嬉しい……の、尊?
「当たり前でしょ!?」
「そうなん?」
「みのりさんと、俺の!子供だよ!?嬉しいに決まってるでしょ!」
だって、怖いとかないん?
人、育てないといけないんだよ?
半端な覚悟じゃ出来ないよ?
もし出来てたら。あたしは不安でいっぱいだよ。
「大丈夫だよ」
尊がおでこにキスした。
「みのりさんに関しては100パー責任取るって言ったでしょ」
最初に言った。
だから。
みのりさんは安心してママになって良いんだよ。
優しい、優しい微笑みでそういった。
「みのりさん…可愛い」
キスした後のあたしの顔は、うるうるして可愛いそうだ。
あくまで尊に言わせると、やけどね。
「みのりさんが好きなの誰か、言って…?」
耳元にキスしながら尊が言う。
「…尊が好き」
そう答えると、微笑んでおでこにキスする尊。
「みのりさん、大好き…」
毎日、好き、って言葉を尊は欲しがる。
こんだけ一緒にいたら言わなくてもわかるだろ。
そう思うけど。
尊は一日に何度も聞きたがる。
尊にとっては、確認する事は大事な事なんだろな。最近わかるようになった。
あたしは尊に、特別な事をしてあげるワケじゃない。
未だに、なんでそんなにあたしの事、好きなのかわかんないと思う事ある。
でも、尊があたしの事好きでいてくれる分、あたしも尊の事好き。
こないだそう言ったら、俺はみのりさんが思ってる以上にみのりさん好きだから、て言い返された。
尊が前に比べて変わった。
て、瞳子さんや龍二くんが言うけど。
あたしはなんにもしてないよ。
だって、尊は最初から優しくてあたしの事、可愛いって言うもん。あたしにくっついて離れんし。
それは変わんないもん。
だから、えっちすんのも尊にとって愛情表現なのはわかってる。
わかってるから、やってんだよ。
いや、気持ち良いんだよ?実際。
毎日でも、一日一回とかに…なんないだろうな。
コイツのこの精力はなんなんだろ。
どっからくるんだ。しかも、酒飲んでて。
隠れて変な薬飲んでんじゃねえだろうな?
……ホントに飲んでねえだろうな?
まあ、とりあえずそんな事考えたりする事もあるけど。
「ねえ、みのりさん?」
「んー?」
気だるさの混じる声。尊の左腕に抱かれる、あたし。
「ちょっと思ったんだけど」
「なにを?」
「みのりさん…」
尊が、髪を撫でる手を止めた。
「…今月」
尊が息をついた。
「生理、きてないんじゃない?」
……そうだっけ?
記憶を辿る。あったような、ないような。
結構アバウトやからね、あたし。
でも、大体決まった周期でくる。不規則じゃない。
「きてないっけ?」
「無いと思うよ」
尊が枕元の携帯を手にする。
スケジュールの画面を開く。
毎日お客さんのアポで埋まってるスケジュール。
忙しいな、さすがナンバーワン。
尊は先月の画面を表示させる。
日付の下の情報。アポの書き込みが並ぶ。
その中に、何日間か連続して表示されるハートマーク。
なんと、この尊さんて人は。
あたしの生理日を記録しておられる。
本人がアバウトなのに。
しっかりした彼氏でらっしゃること。
尊は日付からあたしの生理日を計算して
「やっぱ遅れてるよ」
あたしの顔を見た。
「今日で、五日遅れてるよ」
そうか。五日遅れてんのか。
でも、まあ。
たまにそう言う事あるしな。
一週間きてないならおかしいと思うけど。五日ならな。
まあ、大丈夫だろ。
あくまでもアバウトな、あたし。
大体、きっちり28日周期ってワケでもないし。
「…みのりさん」
尊があたしを見てる気配がする。
呼ぶ声に、顔を上げた。
ちょっと、赤くなったほっぺた。笑いだしそうに口角が上がってて、唇が震えてる。
なんだ?なにが。
そんなにおかしいんだ?
「ねえ、みのりさん」
右手であたしのほっぺたを撫でる。
「これ、ってもしかして…」
尊が完全に笑顔になった。
だから、なにがおかしいんだよ?
「みのりさんっ」
尊があたしを抱き締めた。
「ってーな!」
顔面が尊の胸で押し潰された。
「あっ。ごめん、嬉しくてつい…」
嬉しい?なにが?
「みのりさん」
「うん?」
なんで笑ってんの、尊?
「赤ちゃん、出来た!?」
は……………………………?
ちょ。
「うわあ!凄いね、みのりさん!」
瞳を輝かせる尊。
ちょっと待てえい!
「少し遅れてるだけやん」
「でもみのりさん、大体遅れても三日とかだよ?」
そうなんだけどさ。
なんであたし以上にあたしの身体に詳しいんじゃ。
「出来たのかなあ。出来てるといいなあ」
凄いキラキラの尊。
「あ、検査って自分で出来るんだよね、ドラックストアに売ってるヤツ」
ネット繋いで、なにやら調べ出した。
「検査薬ってどのくらい遅れてたら使えるのかなあ」
やら。
「へえ。生理の予定日の一週間後だって」
あげくに。
「妊娠してたら四週目だって!みのりさん、妊娠一ヶ月かも!」
あたしを置いて先走る。
いや、ちょっと待てよ。
出来てるかも、ってのは確かにあるかもしれんが。
「みのりさん、大変!」
なにがだよ。
「妊娠初期ってあんま動いちゃダメだって!激しい運動しちゃダメだよ?あ、運転も危ないかなあ?」
「いや、まだわかんないし」
未確認情報であたしを制限しないで下さい。
「みのりさんっ!」
突然、あたしの肩を掴む。凄く困った顔で。
な、なによ。その顔。
「セックスって激しい運動かな!?」
力、抜けるわ。
なんの心配しとんじゃ、オノレは。
そんな事よりもだよ。
妊娠、て。
もしホントだったら大変な事だぞ?
そんな、喜んで。よろこぶ。嬉しい……の、尊?
「当たり前でしょ!?」
「そうなん?」
「みのりさんと、俺の!子供だよ!?嬉しいに決まってるでしょ!」
だって、怖いとかないん?
人、育てないといけないんだよ?
半端な覚悟じゃ出来ないよ?
もし出来てたら。あたしは不安でいっぱいだよ。
「大丈夫だよ」
尊がおでこにキスした。
「みのりさんに関しては100パー責任取るって言ったでしょ」
最初に言った。
だから。
みのりさんは安心してママになって良いんだよ。
優しい、優しい微笑みでそういった。
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