You Could Be Mine 【改訂版】

そのじゅう-たけるにっき

そのじゅう-たける5

みのりさんを好きなって決めた事。

もう一つ。

一番、大事な事。

真っ先に浮かんだ。

何があっても、みのりさんを守る。

人を守るなんて考えたのも、みのりさんが初めてだ。

俺は敵が多い。

てっぺん取るためにも裏で汚え事もしてきた。

水商売なんかしてりゃ、堅気の知り合いの方が少ない。

てっぺんとるためには、堅気じゃない知り合いと上手く付き合ってきゃならねえ。

揉め事があったら、その知り合い通して解決してもらう事もある。

解決する過程で逆恨みもされる。

客の中でも、俺のせいで離婚したり。

借金作って消えたり。

まあ、借金で堕ちて、それでも店通う客もいるけど。

そんなもん、自分の責任で金遣ってんだから、俺は関係無え。

いちいち客に同情してたら、仕事にならねえ。

同情なんかした事ねえけどな。

とにかく、色々なとこで自分が知ってようがいまいが。

俺を敵だと思ってる人間は結構いる。

なにをするかわかんねえ様なのもいる。

俺一人なら、別に問題ねえ。

でも、みのりさんにだけは手は出させねえ。

俺はみのりさんを守らなきゃなんねえ。

それだけの覚悟して。

俺のものになって。

って、言った。

だから、みのりさんには俺の仕事に一切関わらせたく無い。

店にも来てほしくない。

仕事してる俺を見せるのが嫌、ってのもある。

けど、店に来たりして余計なとこから俺の女だとか漏れると困るから、てのが大きい。

俺の周りでも、みのりさんの事はごく一部のヤツしか知らない。

そうまでして守ろうとしたのに。

みのりさんは、俺の汚いとこなんて知らなくていい。

俺がただ一つ、安心して甘えられる場所。

そこだけは汚したくない。

そう言うのって、なんてんだっけ。

あ、オアシスだ。

みのりさんは、俺のオアシス。

改めて考えると。

そんな事言う俺って、恥ずかしいヤツ。

ま。とにかく。

みのりさんは、俺が産まれて初めて守りたいと思ったひと。

もちろん、俺の敵からだけじゃねえ。

みのりさんが笑っていられる様に。

みのりさんに悪い事が起こらない様に。

みのりさんにツラい事が起こらない様に。

俺が守りたいんだ。

アイツが。

リカが現れた時。

いつもの事だと、思った。

アフター終わりにアイツに捕まった。

自分の姉貴が死んだ、て言う。

俺の客だった。

リカに言われても、思い出せない。

借金作って店来なくなるヤツなんて、俺の知った事じゃねえ。

どうなろうが俺に関係ねえだろ。

遊ぶ金くらい管理出来ねえ自分が悪い。

俺のせいじゃない。

俺を許さない、リカが言った。

幸せになるなんて許さない。

そんな事知るか。

みのりさんと俺の幸せを壊されてたまるか。

お前なんかに。

みのりさんに手出しさせるかよ。

そう思った。

でも。

俺の。ホントの。

俺。

みのりさんには知られたくない。

みのりさんがホントの俺知ったら。

俺から離れてしまうかも知れない。

それを考えると。

凄い、怖い。

震えて眠れないほど。