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そのきゅう

そのきゅう-3

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針が。

「止めろっ!!なにすんのっ!!」

あたしの腕に。

「いやあっ!!」

チクリ、痛みが走る。

筒の中の液体があたしに。

リカが笑う。

「あたしのお姉ちゃん死なせといて、自分は幸せになろうなんて」

針が抜ける。

「絶対、許さない」

笑うのを止めて、言った。

「なっ、なにしたっ!?」

電話は鳴り続ける。

あたしに、なにしたんだよっ!?

「死にやしないわよ」

注射器を放り投げて、リカが言った。

「これも、アンタのために用意しただけだから、新品よ。安心して」

「なっなんなんよっ!?」

あたしを押さえる男が、声を出さずに笑う。

「危ないもんじゃないわよ。あたし、危ない薬持ってる知り合いなんていないし」

くすっ。

また、リカが笑う。

「アイツの大事なもんなんて、ぶっ壊してやる」

あたしの、事か!?

「どんな顔するかしらね、アイツ」

身体が、おかしい。

なんだか、熱い。

汗がにじんでくる。

「自分の大事なもんが壊れたら。泣くかしらね」

リカが、あたしの耳に息を吹きかけた。

「ぅあっあんっ!」

凄まじいくらいの快感が、身体を走り抜ける。

「効いてきたみたいね」

あたしの反応を見て、リカが言った。

なに!?

なんなのっ!?

「な…なにしたのよっ!?」

「良かった。ちゃんと意識あるわね」

リカがあたしの首筋を、指で撫でる。

「やああんっ」

ビリビリする。

「意識無くなっちゃったら、意味無いしね」

くすくす、愉しそうに笑う。

なんだよ。

なんなんだよっ!!

「やめろよっ!離せってば!!」

「そろそろ、いいんじゃない?」

あたしを無視して、男に言う。

「ひゃあああっ!」

男の手が胸を触る。

恐ろしいほど、敏感になってる、身体。

「やっ!いやあっ!!」

男の手がジーンズを脱がせ様と動く。

助けて。

誰か、助けて。

溢れてくる涙。

その、時。

激しく玄関のドアを叩く。

音。 

壁が細かく振動するほど。


激しく叩く音。

「何よ、こんな時間に」

リカが立ち上がる。

その、瞬間。

けたたましい音とともに、バタバタと室内を走る靴音。

「何よっ、あんたっ!!」

リカがリビングのドアを開けて、叫んだ。

「ぐあっ!!」

ほとんど同時に。

あたしの上の男の身体が、跳んだ。

跳んだ身体にのしかかる、男の人。

「何すんのよっ!!あんた誰っ!?」

リカが慌て駆け寄る。

リカの男に跨がり、顔に拳を打ち付ける、人。

「……りゅ」

龍二、くん!?

「みのりさんっ!!」

靴音と尊の声。

「あんたっ…!」

リカが振り返った。

うまく、動けない。

「みのりさんっ!?」

ソファーで動けないあたしに、尊の手が近付く。

ソファーの傍から、拳を打ち付ける音。

尊の指先があたしのほっぺたに触れる。

「きゃああああっ!!」

声と一緒に、身体がびくびくと震える。

尊が慌て、手を引っ込めた。

尊が、助けに来てくれた。

あたしを、助けに。

来てくれた。

堰を切った様に溢れる涙。

「た…け…」

言葉が出てこない。

屈み込んであたしの顔、のぞきこむ、尊。

「みのりさん…」

凄く心配そうな顔。

唇を噛みしめて、あたしを見る。

そっとあたしの頬に触れる。

「ふっあああんっ」

触れられただけで突き抜ける、刺激。

「……みのりさん…!」

「あら。残念。見つかっちゃった」

嘲る様な、リカの声。

尊の顔が怖いものに変わる。

今までで、一番怖い顔。

「みのりさん…すぐに家に連れて帰ってあげるから…」

立ち上がって、リカの胸ぐらを、掴んだ。 
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