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そのはち
そのはち-7
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やわらかい、間接照明の灯り。
スタイリスティックスが、静かに流れる。
カウンターで頬杖つく、あたし。
あたしの前には、ラムコーク…やなくて。
「なんでカルアミルクなんよ?」
「なんか、お前今日飲みそうな雰囲気やから。危なそうやから、それにしとけ」
トニーさんがグラスを拭きながら、言った。
ち。
今日は飲もうと思ってたのに。
読まれてやがる。
この店のラムコークは、ほとんどがラム酒で、色付け程度のコーク。
三杯も飲めば、立派に酔っ払う。
仕方無く、コーヒー牛乳の色した酒、口に含む。
甘ったるい、カルア。
酔っ払いたい気分、やったのになあ。
「…みのりは、どうしたいん?」
えみママが吐いた煙が、空気に溶けていく。
「……わかんない」
グラスの汗を、指で拭う。
だって。
わかんないよ。
こんなに強く、深く、想われるなんて。
初めてやから。
「離れるのはカンタン」
このまま、離れる?
「続けていくのは、カンタンやないんよ」
続けていくのは簡単じゃない。
「人を愛するなんて、ホントはそんな甘いもんやないんよ、みのり」
カルアを、もう一口。
「愛される覚悟、ってモンが要るんよ」
尊に。
愛される覚悟。
「怖がってたらいかんのよ」
あたしがいなくなったら。
尊は、どうなるんやろう。
きっと、寂しくて死んじゃうかもな。
ウサギやし。
あたしは、どうなるんやろう。
尊がいないと。
どうなるんやろう。
あたしがいないと。
尊は。
「……受け止めてやんなさい。みのり」
トニーさんが、CDを変えた。
心地好い、R&B。
End Of The Roadが静かに流れ出す。
音楽が、あたしに語りかける。
道の終わりに来たけど、でも諦められない
離れるなんておかしいよ
キミはボクのもので
ボクはキミのもの
みのりさんは誰のものなの?
あたしは。
尊の。
だよ。
俺から離れられない様にしてあげるから。
そう、言ったね。
えみママが。
「仲直りの言葉、教えてあげるよ。彼に言ってあげな」
笑って言った。
あたしは、尊にメッセージした。
尊の家で待ってる
一言だけ。
尊は、凄く。
慌てて帰って来て。
慌てぶりが少し、笑えた。
「みのりさん…」
泣きそうな顔して、笑う。
コートも着たままで、あたしをぎゅう、っと抱き締める。
言ってみようかな。
えみママが教えてくれた、仲直りの言葉。
かなり、恥ずかしいけど。
尊の耳に、唇を近づけて。
「あのね、尊」
「どうしたの?」
Make me sweet。
尊は、凄くにっこりして、またあたしをぎゅう、って抱き締めた。
優しい手があたしの髪、撫でる。
指で、髪を鋤く様に。
くすぐったくて、ちょっと笑ったら、あたし見て尊が微笑む。
尊の顔が近付いてきて、おでこに。
ちゅ、キスする。
眼を閉じたら、瞼に唇が触れる。
唇はそのまま耳元に。
「みのりさん。好き」
囁く。
ほっぺたにキスして、親指で撫でる。
唇を何度も、指でなぞる。
静かに。そっと。
尊の唇があたしに重なる。
尊の舌があたしの唇の合わせ目に触れて、促す。
あたしは、だから、少しだけ唇を開く。
隙間からくる舌は、あたしの口の中いっぱい、あたしを確かめようとする。
唇が離れる。
少し眼を開くと、微笑んであたしを見つめる、尊。
あたしの前髪を手で鋤き上げて、頭撫でる。
「みのりさん…可愛い…」
短いため息をついて、もう一度唇を重ねる。
今度は、角度変えて。
さっきより、長く。
あたしの頭を撫でながら。
ぼんやり、頭の中が霞んでしまう。
いつの間にか唇は離れて、首筋に移動してる。
「ん……」
あたしから漏れるため息は、甘い。
少しずつ位置を変えながら、触れる、唇。
尊の手が、ゆっくり動いてあたしの身体を撫でていく。
あたしのカタチをなぞる様に。
唇と手のひらと指先で。
あたしのカタチを。
あたしの感触を。
確かめる様に。
「全部…好き」
髪も。
可愛い顔も。
細い肩も。
胸も。
小さい手も。
細い腰も。
綺麗な足も。
「全部、可愛い…全部、好き」
ため息を混ぜながら。
切ないくらい、甘い声で、囁く。
あたしの胸、小さいけど。
可愛い。
って。
桜色のその中心は、あたしの小指の先っちょくらい。
尊はそれを軽く噛んで、舌の先で転がす。
尊の手のひらは、あたしのカタチに沿って下っていく。
優しく。
肌を撫でる。
まるで、少しでも力を入れると壊れてしまうと思ってるみたいに。
あたしが消えてしまわない様に。
優しく、触れる。
尊。
あたしはしゃぼん玉やないよ?
少しでも力入れたら弾けるとでも、思ってるん?
甘い声にちょっとだけ、くすくす、笑いが混じる。
尊の細くて長い指は、あたしの気持ち良いとこを知ってる。
あたしをてっぺんに連れてく。
「気持ち良い?みのりさん」
やだな。
知らんの?
あたしの気持ち良いとこは、全部、尊が見つけたんよ?
だから、尊やないと。
ダメなんよ?
尊がいっぱい触るから。
あたしは。
どんどん甘く甘く、熟れてく。
「俺の事、好き?」
大好きだよ。
けど、尊があたしを鳴かせるから。
言葉が途切れちゃうよ。
「俺が欲しいって…言って?みのりさん」
尊。
尊が、欲しいよ。
「名前…呼んで…?俺の、名前…」
尊。
何回でも呼ぶよ。
たける。
あなたの、名前。
大好きな、名前。
もう、怖がったりしないから。
たくさん、あたしを愛してね。
いっぱい、好きって言ってね。
あたしは、ここにいるから。
一緒にいるから。
たけると、いるから。
スタイリスティックスが、静かに流れる。
カウンターで頬杖つく、あたし。
あたしの前には、ラムコーク…やなくて。
「なんでカルアミルクなんよ?」
「なんか、お前今日飲みそうな雰囲気やから。危なそうやから、それにしとけ」
トニーさんがグラスを拭きながら、言った。
ち。
今日は飲もうと思ってたのに。
読まれてやがる。
この店のラムコークは、ほとんどがラム酒で、色付け程度のコーク。
三杯も飲めば、立派に酔っ払う。
仕方無く、コーヒー牛乳の色した酒、口に含む。
甘ったるい、カルア。
酔っ払いたい気分、やったのになあ。
「…みのりは、どうしたいん?」
えみママが吐いた煙が、空気に溶けていく。
「……わかんない」
グラスの汗を、指で拭う。
だって。
わかんないよ。
こんなに強く、深く、想われるなんて。
初めてやから。
「離れるのはカンタン」
このまま、離れる?
「続けていくのは、カンタンやないんよ」
続けていくのは簡単じゃない。
「人を愛するなんて、ホントはそんな甘いもんやないんよ、みのり」
カルアを、もう一口。
「愛される覚悟、ってモンが要るんよ」
尊に。
愛される覚悟。
「怖がってたらいかんのよ」
あたしがいなくなったら。
尊は、どうなるんやろう。
きっと、寂しくて死んじゃうかもな。
ウサギやし。
あたしは、どうなるんやろう。
尊がいないと。
どうなるんやろう。
あたしがいないと。
尊は。
「……受け止めてやんなさい。みのり」
トニーさんが、CDを変えた。
心地好い、R&B。
End Of The Roadが静かに流れ出す。
音楽が、あたしに語りかける。
道の終わりに来たけど、でも諦められない
離れるなんておかしいよ
キミはボクのもので
ボクはキミのもの
みのりさんは誰のものなの?
あたしは。
尊の。
だよ。
俺から離れられない様にしてあげるから。
そう、言ったね。
えみママが。
「仲直りの言葉、教えてあげるよ。彼に言ってあげな」
笑って言った。
あたしは、尊にメッセージした。
尊の家で待ってる
一言だけ。
尊は、凄く。
慌てて帰って来て。
慌てぶりが少し、笑えた。
「みのりさん…」
泣きそうな顔して、笑う。
コートも着たままで、あたしをぎゅう、っと抱き締める。
言ってみようかな。
えみママが教えてくれた、仲直りの言葉。
かなり、恥ずかしいけど。
尊の耳に、唇を近づけて。
「あのね、尊」
「どうしたの?」
Make me sweet。
尊は、凄くにっこりして、またあたしをぎゅう、って抱き締めた。
優しい手があたしの髪、撫でる。
指で、髪を鋤く様に。
くすぐったくて、ちょっと笑ったら、あたし見て尊が微笑む。
尊の顔が近付いてきて、おでこに。
ちゅ、キスする。
眼を閉じたら、瞼に唇が触れる。
唇はそのまま耳元に。
「みのりさん。好き」
囁く。
ほっぺたにキスして、親指で撫でる。
唇を何度も、指でなぞる。
静かに。そっと。
尊の唇があたしに重なる。
尊の舌があたしの唇の合わせ目に触れて、促す。
あたしは、だから、少しだけ唇を開く。
隙間からくる舌は、あたしの口の中いっぱい、あたしを確かめようとする。
唇が離れる。
少し眼を開くと、微笑んであたしを見つめる、尊。
あたしの前髪を手で鋤き上げて、頭撫でる。
「みのりさん…可愛い…」
短いため息をついて、もう一度唇を重ねる。
今度は、角度変えて。
さっきより、長く。
あたしの頭を撫でながら。
ぼんやり、頭の中が霞んでしまう。
いつの間にか唇は離れて、首筋に移動してる。
「ん……」
あたしから漏れるため息は、甘い。
少しずつ位置を変えながら、触れる、唇。
尊の手が、ゆっくり動いてあたしの身体を撫でていく。
あたしのカタチをなぞる様に。
唇と手のひらと指先で。
あたしのカタチを。
あたしの感触を。
確かめる様に。
「全部…好き」
髪も。
可愛い顔も。
細い肩も。
胸も。
小さい手も。
細い腰も。
綺麗な足も。
「全部、可愛い…全部、好き」
ため息を混ぜながら。
切ないくらい、甘い声で、囁く。
あたしの胸、小さいけど。
可愛い。
って。
桜色のその中心は、あたしの小指の先っちょくらい。
尊はそれを軽く噛んで、舌の先で転がす。
尊の手のひらは、あたしのカタチに沿って下っていく。
優しく。
肌を撫でる。
まるで、少しでも力を入れると壊れてしまうと思ってるみたいに。
あたしが消えてしまわない様に。
優しく、触れる。
尊。
あたしはしゃぼん玉やないよ?
少しでも力入れたら弾けるとでも、思ってるん?
甘い声にちょっとだけ、くすくす、笑いが混じる。
尊の細くて長い指は、あたしの気持ち良いとこを知ってる。
あたしをてっぺんに連れてく。
「気持ち良い?みのりさん」
やだな。
知らんの?
あたしの気持ち良いとこは、全部、尊が見つけたんよ?
だから、尊やないと。
ダメなんよ?
尊がいっぱい触るから。
あたしは。
どんどん甘く甘く、熟れてく。
「俺の事、好き?」
大好きだよ。
けど、尊があたしを鳴かせるから。
言葉が途切れちゃうよ。
「俺が欲しいって…言って?みのりさん」
尊。
尊が、欲しいよ。
「名前…呼んで…?俺の、名前…」
尊。
何回でも呼ぶよ。
たける。
あなたの、名前。
大好きな、名前。
もう、怖がったりしないから。
たくさん、あたしを愛してね。
いっぱい、好きって言ってね。
あたしは、ここにいるから。
一緒にいるから。
たけると、いるから。
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