49 / 160
そのはち
そのはち-2
しおりを挟む
「そろそろ、お茶にしませんかあ!?」
おかんが、紅茶とお菓子を持って、やってきた。
ったく。
スカート、ひらひらさせやがって。
普段、年代物のジーンズのくせに。
口紅、赤過ぎやし。
これやからオバハンは。もう!
「お構い無く」
笑顔で応える松本氏。おかんには、愛想良い。
その十分の一でいいから、あたしにも愛想良くしてくれ。
おかんは、いそいそと紅茶とお菓子をテーブルに置く。
松本氏のお土産、ごまたまごと、ティーカップが三つ。
自分も混ざる気やな。このばばあ。
「ホントにもう、いつも松本さんにはお世話かけっぱなしで、すいませんねぇ」
あたしの隣に座りながら、おかんが言った。
「とんでも無いです。お嬢さんには、期待してますから」
お愛想で返す松本氏。
松本氏は、ウチのおかんのお気に入りだ。
デビューしてすぐ、わざわざこっちまで挨拶に来た。
松本氏、見た目は結構シブい、いい男なもんでおかんのハートにジャストミートやったらしい。
和やかな雰囲気の中、いつの間にか、お夕食は?みたいな話になってる。
「今夜は、水炊き屋に行ってみようかと。ネットで調べたんですが、鳥や、ってお店が評判でしたので行ってみます」
げっ!鳥や!?
「あらまあ!」
素っ頓狂な声だすなよ、おかん。
「そこ、お友達の店なんですよ!」
鳥やのおばちゃんは、おかんの同級生。
「やったら、みのりも一緒行ったら?安くしてくれるし」
な、なにを言いだす、このばばあ!
松本氏とメシ食っても楽しく無いわ!
「そうですね…。一人で行くのもなんですし」
ま、松本さんっ!?
一人で食っても美味しいっすよ、その店!!
「…じゃあ、ご一緒して頂けますか、天海さん」
そして、あたしは松本氏の怖い顔見ながら、鍋をつつくハメに。
なった。
鳥やのおばちゃんは。
みのりちゃんの担当さんから、お金貰えんわあ。
とか言って、安くするどころかただにしてくれた。
「……お世話様でした」
あたしに礼を言う、松本氏。
「いえ…とんでもないです」
ほぼ無言の、タノシイお食事でございました。
「お礼と言ってはなんですが、もう一軒行きませんか、天海さん」
いや!とんでもない!
お礼なんて辞退させて頂きます!
「まあ、話しておきたい事もあるので」
「……ハイ」
お付き合い、させて頂きます…。
「ビアハート、って店ご存じですか?」
はあ。世界中のビールが飲める店です。
「場所、解りますか?」
「わかります…」
わかるんですが、あんま行きたくないです…。
そこ、尊の店の前通らんと行けん。
仕方無しに松本氏と歩いてると、尊の店の前で。
「あ!みのりさん!」
あたし呼ぶ声。
相変わらずの、茶髪にピアス。
ユウくん。キミは。
なぜにいつも、バッドタイミング!?
ま。今日はね。
だいじょぶやけどね。
だって、松本氏とご飯行くの、尊に言ってるもんね。
「お友達ですかぁ?」
ニコニコ。
「あ。違うよ。仕事の関係」
「……ホストクラブ?」
松本氏が、ユウくんと店を交互に見た。
「天海さん…貴女、こう言う所で遊んでるんですか?」
あっ、遊んでませんっ!!
「違います!一回来ただけです!」
松本氏の怖い顔に、慌て言った。
「良かったらあ、飲んできません?今店内、超ヒマなんですよぉ」
飲まねえって!!
「尊さんも、今空いてるしぃ」
その尊に来るなって言われてんだよっ!!
「入りましょうか、天海さん」
はあっ!?
「貴女がどう言う所で遊んでるのか、把握くらいしておきたいですし」
「いや、遊んでないです!!」
「丁度良いです。貴女の交遊関係について、お話しておきたい事もありますから」
「じゃあ決まりね!二名様ご来店でえす!」
呆然とするあたしに。
「行きますよ」
松本氏が言った。
だ、ダメだってえええええ!!
おかんが、紅茶とお菓子を持って、やってきた。
ったく。
スカート、ひらひらさせやがって。
普段、年代物のジーンズのくせに。
口紅、赤過ぎやし。
これやからオバハンは。もう!
「お構い無く」
笑顔で応える松本氏。おかんには、愛想良い。
その十分の一でいいから、あたしにも愛想良くしてくれ。
おかんは、いそいそと紅茶とお菓子をテーブルに置く。
松本氏のお土産、ごまたまごと、ティーカップが三つ。
自分も混ざる気やな。このばばあ。
「ホントにもう、いつも松本さんにはお世話かけっぱなしで、すいませんねぇ」
あたしの隣に座りながら、おかんが言った。
「とんでも無いです。お嬢さんには、期待してますから」
お愛想で返す松本氏。
松本氏は、ウチのおかんのお気に入りだ。
デビューしてすぐ、わざわざこっちまで挨拶に来た。
松本氏、見た目は結構シブい、いい男なもんでおかんのハートにジャストミートやったらしい。
和やかな雰囲気の中、いつの間にか、お夕食は?みたいな話になってる。
「今夜は、水炊き屋に行ってみようかと。ネットで調べたんですが、鳥や、ってお店が評判でしたので行ってみます」
げっ!鳥や!?
「あらまあ!」
素っ頓狂な声だすなよ、おかん。
「そこ、お友達の店なんですよ!」
鳥やのおばちゃんは、おかんの同級生。
「やったら、みのりも一緒行ったら?安くしてくれるし」
な、なにを言いだす、このばばあ!
松本氏とメシ食っても楽しく無いわ!
「そうですね…。一人で行くのもなんですし」
ま、松本さんっ!?
一人で食っても美味しいっすよ、その店!!
「…じゃあ、ご一緒して頂けますか、天海さん」
そして、あたしは松本氏の怖い顔見ながら、鍋をつつくハメに。
なった。
鳥やのおばちゃんは。
みのりちゃんの担当さんから、お金貰えんわあ。
とか言って、安くするどころかただにしてくれた。
「……お世話様でした」
あたしに礼を言う、松本氏。
「いえ…とんでもないです」
ほぼ無言の、タノシイお食事でございました。
「お礼と言ってはなんですが、もう一軒行きませんか、天海さん」
いや!とんでもない!
お礼なんて辞退させて頂きます!
「まあ、話しておきたい事もあるので」
「……ハイ」
お付き合い、させて頂きます…。
「ビアハート、って店ご存じですか?」
はあ。世界中のビールが飲める店です。
「場所、解りますか?」
「わかります…」
わかるんですが、あんま行きたくないです…。
そこ、尊の店の前通らんと行けん。
仕方無しに松本氏と歩いてると、尊の店の前で。
「あ!みのりさん!」
あたし呼ぶ声。
相変わらずの、茶髪にピアス。
ユウくん。キミは。
なぜにいつも、バッドタイミング!?
ま。今日はね。
だいじょぶやけどね。
だって、松本氏とご飯行くの、尊に言ってるもんね。
「お友達ですかぁ?」
ニコニコ。
「あ。違うよ。仕事の関係」
「……ホストクラブ?」
松本氏が、ユウくんと店を交互に見た。
「天海さん…貴女、こう言う所で遊んでるんですか?」
あっ、遊んでませんっ!!
「違います!一回来ただけです!」
松本氏の怖い顔に、慌て言った。
「良かったらあ、飲んできません?今店内、超ヒマなんですよぉ」
飲まねえって!!
「尊さんも、今空いてるしぃ」
その尊に来るなって言われてんだよっ!!
「入りましょうか、天海さん」
はあっ!?
「貴女がどう言う所で遊んでるのか、把握くらいしておきたいですし」
「いや、遊んでないです!!」
「丁度良いです。貴女の交遊関係について、お話しておきたい事もありますから」
「じゃあ決まりね!二名様ご来店でえす!」
呆然とするあたしに。
「行きますよ」
松本氏が言った。
だ、ダメだってえええええ!!
1
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
冷たい外科医の心を溶かしたのは
みずほ
恋愛
冷たい外科医と天然万年脳内お花畑ちゃんの、年齢差ラブコメです。
《あらすじ》
都心の二次救急病院で外科医師として働く永崎彰人。夜間当直中、急アルとして診た患者が突然自分の妹だと名乗り、まさかの波乱しかない同居生活がスタート。悠々自適な30代独身ライフに割り込んできた、自称妹に振り回される日々。
アホ女相手に恋愛なんて絶対したくない冷たい外科医vsネジが2、3本吹っ飛んだ自己肯定感の塊、タフなポジティブガール。
ラブよりもコメディ寄りかもしれません。ずっとドタバタしてます。
元々ベリカに掲載していました。
昔書いた作品でツッコミどころ満載のお話ですが、サクッと読めるので何かの片手間にお読み頂ければ幸いです。
【完結】指先が触れる距離
山田森湖
恋愛
オフィスの隣の席に座る彼女、田中美咲。
必要最低限の会話しか交わさない同僚――そのはずなのに、いつしか彼女の小さな仕草や変化に心を奪われていく。
「おはようございます」の一言、資料を受け渡すときの指先の触れ合い、ふと香るシャンプーの匂い……。
手を伸ばせば届く距離なのに、簡単には踏み込めない関係。
近いようで遠い「隣の席」から始まる、ささやかで切ないオフィスラブストーリー。
お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる