You Could Be Mine 【改訂版】

てらだりょう

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そのはち

そのはち-2

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「そろそろ、お茶にしませんかあ!?」

おかんが、紅茶とお菓子を持って、やってきた。

ったく。

スカート、ひらひらさせやがって。

普段、年代物のジーンズのくせに。

口紅、赤過ぎやし。

これやからオバハンは。もう!

「お構い無く」

笑顔で応える松本氏。おかんには、愛想良い。

その十分の一でいいから、あたしにも愛想良くしてくれ。

おかんは、いそいそと紅茶とお菓子をテーブルに置く。

松本氏のお土産、ごまたまごと、ティーカップが三つ。

自分も混ざる気やな。このばばあ。

「ホントにもう、いつも松本さんにはお世話かけっぱなしで、すいませんねぇ」

あたしの隣に座りながら、おかんが言った。

「とんでも無いです。お嬢さんには、期待してますから」

お愛想で返す松本氏。

松本氏は、ウチのおかんのお気に入りだ。

デビューしてすぐ、わざわざこっちまで挨拶に来た。

松本氏、見た目は結構シブい、いい男なもんでおかんのハートにジャストミートやったらしい。

和やかな雰囲気の中、いつの間にか、お夕食は?みたいな話になってる。

「今夜は、水炊き屋に行ってみようかと。ネットで調べたんですが、鳥や、ってお店が評判でしたので行ってみます」

げっ!鳥や!?

「あらまあ!」

素っ頓狂な声だすなよ、おかん。

「そこ、お友達の店なんですよ!」

鳥やのおばちゃんは、おかんの同級生。

「やったら、みのりも一緒行ったら?安くしてくれるし」

な、なにを言いだす、このばばあ!

松本氏とメシ食っても楽しく無いわ!

「そうですね…。一人で行くのもなんですし」

ま、松本さんっ!?

一人で食っても美味しいっすよ、その店!!

「…じゃあ、ご一緒して頂けますか、天海さん」

そして、あたしは松本氏の怖い顔見ながら、鍋をつつくハメに。

なった。 

鳥やのおばちゃんは。

みのりちゃんの担当さんから、お金貰えんわあ。

とか言って、安くするどころかただにしてくれた。

「……お世話様でした」

あたしに礼を言う、松本氏。

「いえ…とんでもないです」

ほぼ無言の、タノシイお食事でございました。

「お礼と言ってはなんですが、もう一軒行きませんか、天海さん」

いや!とんでもない!

お礼なんて辞退させて頂きます!

「まあ、話しておきたい事もあるので」

「……ハイ」

お付き合い、させて頂きます…。

「ビアハート、って店ご存じですか?」

はあ。世界中のビールが飲める店です。

「場所、解りますか?」

「わかります…」

わかるんですが、あんま行きたくないです…。

そこ、尊の店の前通らんと行けん。

仕方無しに松本氏と歩いてると、尊の店の前で。

「あ!みのりさん!」

あたし呼ぶ声。

相変わらずの、茶髪にピアス。

ユウくん。キミは。

なぜにいつも、バッドタイミング!?

ま。今日はね。

だいじょぶやけどね。

だって、松本氏とご飯行くの、尊に言ってるもんね。

「お友達ですかぁ?」

ニコニコ。

「あ。違うよ。仕事の関係」

「……ホストクラブ?」

松本氏が、ユウくんと店を交互に見た。

「天海さん…貴女、こう言う所で遊んでるんですか?」

あっ、遊んでませんっ!!

「違います!一回来ただけです!」

松本氏の怖い顔に、慌て言った。

「良かったらあ、飲んできません?今店内、超ヒマなんですよぉ」

飲まねえって!!

「尊さんも、今空いてるしぃ」

その尊に来るなって言われてんだよっ!!

「入りましょうか、天海さん」

はあっ!?

「貴女がどう言う所で遊んでるのか、把握くらいしておきたいですし」

「いや、遊んでないです!!」

「丁度良いです。貴女の交遊関係について、お話しておきたい事もありますから」

「じゃあ決まりね!二名様ご来店でえす!」

呆然とするあたしに。

「行きますよ」

松本氏が言った。

だ、ダメだってえええええ!! 
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