You Could Be Mine 【改訂版】

てらだりょう

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そのなな

そのなな-5

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あたしは、悩んでいる。

解決の糸口が見つからない。

『……あー…何でもいいんやない?もう』

「そ、そんな、なげやりな事言わんでよ。涼香ぁ」

親友の涼香は。

『いや、もう、付き合ってられんし』

相手してくれん。

「そんな事、言わんで。一緒に考えてよぅ」

あたしの、目下、真剣にして最大の悩み。

『アンタ、彼氏のノロケばっかしてると、女友達、無くすよ?』

もうすぐ。

「ノロケやないってばあ」

尊の。

『いや、さっきから聞いてると、ノロケにしか聞こえんけど』

誕生日。

あたしなりに、考えはしたのだ、考えは。

「涼香は、恭平の誕生日どうしてるん?」

『あー。去年はブライトリングの一番安いヤツ、やったよ』

ブ、ブライトリングですか。

この、ブルジョアめ。

「うそ?高くない?」

『だってさぁ。あたしん時、ヴィトン貰ったし。同じくらいの金額やないと、後でモメるし』

そ、そんなに高価な誕プレなんて、会社員てそんなに儲かるのか!?

あたしもちょっと会社員したけどそんなん買えるほど儲からんかったぞ!

しかし。ブライトリングか。

時計か。

尊、ブライトリングどころか、ろれっくす、も、フランク・ミュラーさえ持ってるし。

高級車買えますよ?

フランク・ミュラーいっこで。

涼香に、何が欲しいか聞けば?て、最初に言われた。

聞いたのだ。じつは。

そしたら尊に。

「みのりさん」

て、言われた。

ノロケてないです。決して。

それ、涼香に言ったら。

じゃあ頭リボン結びして、どーぞ、ってやれば!?

と、言われてそれ以降、涼香はまともに話を聞いてくれなくなりました。

尊は、お客さんから色々貰ったりするし、欲しい物は自分で買っちゃうし。

「他になんか、したりせんの?」

あたし、まだ原稿料安いし大層なモンは買えんし。

『他に?んー。恭平ん家で、向こうのお母さんと一緒にちょっとご馳走作ったり、とか』

彼氏のお母様と、一緒にお料理ですか。

いや、さっさと結婚しろよ、もう。

うーん。

おりょうり、ですか。 



みのりちゃん、晩ご飯一緒に食べない?

瞳子さんから、お誘いを頂いた。

何度か、ご一緒させていただいてる。

その度に、お洋服を頂く。

瞳子さんのお店は六件あって、全部インポート。

お安いモノでは、ナイ。

そんなにして頂くのは申し訳ないんで、それとなく尊に言った。

「気にしなくて良いよ」

て、言われた。

「でも。結構、高い服やし」

「娘出来たみたいで、嬉しいみたいだよ。好きにさせとけば?みのりさんに会うの、楽しい、って言ってたし」

うむむ。

何も言えない。

誘って頂くのは嬉しいし、瞳子さん優しいし。

なんか、彼氏のお母さんに可愛がってもらうなんて、あたしも初めてで。

いーのかなあ?

て、思ってしまう。

「尊の誕生日?そう言えばもうすぐだったわね」

瞳子さんは、穴子の握りを頬張りながら言った。

「はぁ。何あげようかなぁ、と思ってるんですけど、思い付かなくて」

あたしは、イカの刺身を食べながら。

瞳子さんなら、何か思い付くかなぁ、と思って聞いてみた。

「うーん。いらないんじゃない?何も」

「いや、でも…」

「みのりちゃんがいれば、それでいいんじゃない?あの子」

いや、親子揃って、同じ事言わないで下さい……。

瞳子さんお猪口を、クイっ、と飲み干した。

あたしは、瞳子さんのお猪口にお酒をついだ。

瞳子さんの飲みっぷり、威勢が良くて、好き。

「あの子、みのりちゃんの前じゃ、人格変わるくらいみのりちゃんの事好きだから。みのりちゃんがいるだけで、満足してるわよ」

へ?

なんですか?それ?

「他人に冷たいし、人を人と思ってないところあるし」

えええ!?

違う人の話ですか!?

「昔からそうなの。あんまり他人を信用しないの」

瞳子さんはお猪口を、クイっ、とやって。

「あの子って昔、ヤンキーだったのよ」

尊が。

ヤンキー。

って。

ニューヨークヤンキース、ですか? 
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