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そのご
そのご
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「………ネコ…耳…?」
薄暗い照明の下で、カウンターに突っ伏している、あたし。
今日はマーヴィン・ゲイが流れてる。
隣で、ぷるぷると身体を震わす気配。
笑いたきゃ、笑えよ。
ガマンすんなよ。
「…つーか、笑え」
その途端。
「ぎゃははははははは!ねっ…ネコ耳メイドっ!」
「ひーっひっひっ…みのりがっ!はっはっはっ!」
恭平は、椅子がひっくり返りそうな勢いでのけ反ってる。
トニーさんはカウンターの中でハラ抱えている。
尊は、酒の限度が過ぎると。
「ぎゃあっははっ…げほっ…ぶはっ」
コスプレ変態に、なる。
「ぅごっ…げほっ」
笑いすぎて、恭平が咳き込んだ。
「お、お前、やっと彼氏出来たと思ったら。コスプレって」
トニーさんが、あたしの空になったグラスを引いた。
トニーさんは、アフロヘアー。本名は山田一。
「へっ変態や」
恭平はまだ笑ってる。
ネコ耳メイドの前は、超ミニナースやった。
ちなみに、尊が患者役やった。
トニーさんが、新しいグラスをコースターに乗せた。
グラスの中身は、ラムコーク。
あたしの一番好きなカクテル。
普通の店じゃ、キューバリバーとかになるけど。
トニーさんとこでは、ホワイトラムをいっぱい入れて、色づけ程度にコーラを垂らす、ラムコーク。
「……アンタも涼香にやってもらえば?」
「冗談。俺、頼んだ時点で撲殺されるわ」
恭平は、ハーパーのロックを飲みながら涼香の事を想像したのか、ぶるっ、と身体を震わせた。
まあね、確かに。
涼香なら、そんな事言われたらぶん殴るやろな。
恭平にゲシゲシ、蹴り入れてる涼香が頭の中に浮かぶ。
なんで、あたしが涼香の彼氏と飲んでるのか。
別に、約束したワケじゃない。
元々、この店はあたしが発掘してて、ソウル好きの恭平に教えたら常連になった。
だから、たまに一緒になる。
「お前も、変な男捕まえたなあ」
明らかな哀れみを含んだ恭平の声。
変、いや、変態やけど。
そりゃあドSで変態やけどさ。
でもさ。
「でも、みのりは彼のこと好きなんやろ?」
トニーさんの奥さん、えみママが言った。
好き。
ドSで変態でもさ。
尊だから許せる。
尊はいつも優しくて。
みのりさん、好き。
そう言っていつもあたしを抱きしめる。
「みのり、彼に惚れてんやね」
えみママがナイスなバディを揺らして笑った。
「アンタ、綺麗になったね。彼によっぽど愛されてるんやね」
「綺麗?前と変わらんけど」
恭平、黙れ。
「愛されて、満足したらいかんよ、みのり。」
えみママの大袈裟でもなく深い言葉。
「自信持って、彼のことを愛しな。たくさんみのりの愛も返してあげなよ」
えみママはあたしの頭、ポンポンと、叩いた。
あたしは尊が、好き、って言ってもらえてる分返せてるかな。
「俺は、お前に愛される以上にお前の事愛してるぜ。ベイビー」
トニーさんが、えみママの腰に腕を回した。
「あたしはそれ以上に愛してるよ、ダーリン」
えみママがトニーさんの頬に、キスをした。
ソウルフルなこのカップルは自分の感情に素直。
また、始まったか……。
いつもの事やけどね。
もはや、完全に二人きりの世界。
恭平と、どちらからともなく顔を見合わせ。
「……帰るか」
「…そやね」
店を後にした。
帰り道、大通りの途中のコンビニに寄った。
「あれっ?みのりさん?」
突然、後ろから、声をかけられた。
薄暗い照明の下で、カウンターに突っ伏している、あたし。
今日はマーヴィン・ゲイが流れてる。
隣で、ぷるぷると身体を震わす気配。
笑いたきゃ、笑えよ。
ガマンすんなよ。
「…つーか、笑え」
その途端。
「ぎゃははははははは!ねっ…ネコ耳メイドっ!」
「ひーっひっひっ…みのりがっ!はっはっはっ!」
恭平は、椅子がひっくり返りそうな勢いでのけ反ってる。
トニーさんはカウンターの中でハラ抱えている。
尊は、酒の限度が過ぎると。
「ぎゃあっははっ…げほっ…ぶはっ」
コスプレ変態に、なる。
「ぅごっ…げほっ」
笑いすぎて、恭平が咳き込んだ。
「お、お前、やっと彼氏出来たと思ったら。コスプレって」
トニーさんが、あたしの空になったグラスを引いた。
トニーさんは、アフロヘアー。本名は山田一。
「へっ変態や」
恭平はまだ笑ってる。
ネコ耳メイドの前は、超ミニナースやった。
ちなみに、尊が患者役やった。
トニーさんが、新しいグラスをコースターに乗せた。
グラスの中身は、ラムコーク。
あたしの一番好きなカクテル。
普通の店じゃ、キューバリバーとかになるけど。
トニーさんとこでは、ホワイトラムをいっぱい入れて、色づけ程度にコーラを垂らす、ラムコーク。
「……アンタも涼香にやってもらえば?」
「冗談。俺、頼んだ時点で撲殺されるわ」
恭平は、ハーパーのロックを飲みながら涼香の事を想像したのか、ぶるっ、と身体を震わせた。
まあね、確かに。
涼香なら、そんな事言われたらぶん殴るやろな。
恭平にゲシゲシ、蹴り入れてる涼香が頭の中に浮かぶ。
なんで、あたしが涼香の彼氏と飲んでるのか。
別に、約束したワケじゃない。
元々、この店はあたしが発掘してて、ソウル好きの恭平に教えたら常連になった。
だから、たまに一緒になる。
「お前も、変な男捕まえたなあ」
明らかな哀れみを含んだ恭平の声。
変、いや、変態やけど。
そりゃあドSで変態やけどさ。
でもさ。
「でも、みのりは彼のこと好きなんやろ?」
トニーさんの奥さん、えみママが言った。
好き。
ドSで変態でもさ。
尊だから許せる。
尊はいつも優しくて。
みのりさん、好き。
そう言っていつもあたしを抱きしめる。
「みのり、彼に惚れてんやね」
えみママがナイスなバディを揺らして笑った。
「アンタ、綺麗になったね。彼によっぽど愛されてるんやね」
「綺麗?前と変わらんけど」
恭平、黙れ。
「愛されて、満足したらいかんよ、みのり。」
えみママの大袈裟でもなく深い言葉。
「自信持って、彼のことを愛しな。たくさんみのりの愛も返してあげなよ」
えみママはあたしの頭、ポンポンと、叩いた。
あたしは尊が、好き、って言ってもらえてる分返せてるかな。
「俺は、お前に愛される以上にお前の事愛してるぜ。ベイビー」
トニーさんが、えみママの腰に腕を回した。
「あたしはそれ以上に愛してるよ、ダーリン」
えみママがトニーさんの頬に、キスをした。
ソウルフルなこのカップルは自分の感情に素直。
また、始まったか……。
いつもの事やけどね。
もはや、完全に二人きりの世界。
恭平と、どちらからともなく顔を見合わせ。
「……帰るか」
「…そやね」
店を後にした。
帰り道、大通りの途中のコンビニに寄った。
「あれっ?みのりさん?」
突然、後ろから、声をかけられた。
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