You Could Be Mine 【改訂版】

てらだりょう

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そのよん

そのよん-7

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「みのりさん、喉渇かない?お茶しよっか」

「うん」

通りがかったカフェ。

尊は持ってくれてたあたしの荷物を空いてる椅子に置く。

尊は、極自然にあたしの荷物を持ってくれる。

歩く時には車道側を歩く。

それは、尊にとっては多分当たり前の事で。

そういうのって、やっぱ職業柄ってのもあるんかな?と、ふと思った。

「みのりさん、ケーキ美味しそうだよ」

「あ。アールグレイのシフォンがある!」

あたしは、シフォンケーキに生クリームたっぷり乗っけて食べるのが好き。

「飲み物はなんにするの?」

「カフェオレっ」

尊がギャルソン風な店員さんを呼んで、オーダーしてくれた。

「尊、タバコ吸って良いよ?」

「うん。今はいい」

尊はあたしの前では、あまりタバコを吸わない。

あたしは気にしないけど。

そういうとこもあたしに気を遣ってくれてるのかな。

尊が頼んだコーヒーと、あたしのカフェオレとケーキが運ばれてきた。

ケーキには生クリームがたっぷり添えてあって。

ううーーん!

見た目からして美味しそう!

一切れフォークで削って、生クリームたっぷり乗っけて口に運べば。

しっとり柔らかいシフォンケーキと程よい甘さの生クリームが絶妙。

「美味しい?」

すっかりケーキに心奪われるあたし。

そんなあたしをみてまたにっこりする尊。

「……みのりさん」

何か、思いついたように尊が声かける。

「ん?」

「ちょっと外しても良い?10分くらいで戻るけど」

ん?お手洗いでも行くのか?

別にそのくらい平気やけど。

「うん。大丈夫」

「ごめんね。いいコにして待っててね?すぐ戻ってくるからね?」

子供か、あたしゃ!?

尊が席離れてすぐ。

メッセージの着信音。

誰かと思ったら、送信元は涼香。 

メッセージ見ると。

『今何しよるん?』

そんで。

『今真理が一緒なんやけどカラオケ行かん?』

お誘いか。

でも今日は尊といたいしなあ。

『今彼氏と一緒やからまた今度ね~』

普通に返信、と。

返信したところで、シマッタ。

思い当たる。

速攻で涼香からの電話が。

出ると。

『ちょっとアンタ!彼氏ってなによ!?どこで拾ったんっ!?』

興奮気味の涼香の声。

彼氏が出来た事、涼香にまだ言ってなかった。

言うの忘れてただけやけど。

「拾った…てアンタ失礼な」

『こないだまで、そんな気配すらなかったやん!どうしたん!?』

仕方無しに尊と付き合ってることを話す。

『は?ホスト?こないだの?いやー、アンタそれ騙されてんやないの!?』

「し…失礼な。真面目に付き合ってるよ」

『はあ?マジでえ?』

マジやっちゅーねん!

『…アンタ、連れておいで、そいつ』

はあ?アンタこそ何言ってるん!?

『真面目かどうか、あたしが見極めちゃる!いいね!?絶対連れて来なさいよ!』

いや、待て!

なんでそこまで言われないかんのや!?

『じゃっ!後で!よろしくっ』

涼香は言うだけ言って、電話切りやがった。

って、ちょっと!

「……カラオケ?涼香さんと?」

10分過ぎて。

戻ってきた尊に、恐る恐る涼香の電話の事を話した。

涼香の『見極めちゃる!』の部分はオフレコで。

でも、尊は難しい顔。

尊は少し考えて。

「みのりさん、今日はウチに泊まる?」

全然、関係無い事を聞いてきた。

「…そのつもりやけど」

「じゃあ、明日の夕方まで一緒にいられるね」

「うん…そだね」

「いいよ。行っても」

ん?

どゆこと?

「みのりさんが今日帰っちゃうなら、二人きりの時間が無くなるから行かないけど」

「うん」

「ウチに泊まってくれるなら、明日までゆっくりできるから。行ってもいいよ」

尊はそう言って、微笑んだ。

「あ、ありがと」

「みのりさん?ちょっとこっち」

テーブル越しに、尊が手招きする。

身を乗り出して顔を近づけると、尊の顔が近づいてきて。

ちょうどテーブルの真ん中あたり。

あたしの唇の端っこ、ぺろ。っと。

「クリーム、ついてた」

ひ、人前でそゆ事すんなってばあああああ!!

真っ赤になってるあたしのほっぺた。

「可愛い」

尊が撫でた。 
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