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そのさん

そのさん-4

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って言っても。

結局したけどね。

続きはベッドで。

尊のベッドは大きくて、二人で寝てもスペースが有り余る。

「みのりさん?」

「なに?」

尊の腕の中にすっぽり収まって、あたしの頭はまだぼんやり。

「気持ち良かった?」

「…うん」

「よかった」

尊はくすっと笑って。

あたしのおでこにキスした。

尊とえっちするの、気持ち良い。

ドSだけど。

でも。

アンタ、疲れないのか?

お店終わっても、アフターとかあるワケやし。

アフターって言えばさ。

やっぱお客さんと、まあ、うにゃうにゃしたりとかさ。

そんであたしとして…。

体力あるな、アンタ。

うーん。

やっぱお客さんとするのかなぁ?

なんか、それはやっぱり。

なんて言うか、考えるとタノシクはないなぁ。

でも、ホストだし。

ホスト、ちゅーたらやっぱ仕事の内だろうし。

仕方ないよなぁ。

「何考えてるの?みのりさん?」

黙ってうだうだしてたら。

心配そうにあたしの顔覗き込む。

 「やっ…別に…なんでもない」

解りきってる事に嫉妬するなんてな、やっぱ子供っぽいと思うし。

「心配な事とかあるなら、ちゃんと言って?」

尊があたしの髪を優しく撫でる。

「…その、た、尊は疲れないのかなー、と思って」

「何が?」

「いや、あたしとするのがさ」

「…どうして?」

「あたし以外に、お客さんとかと…その…やから疲れないかな、と」

「………」

「あっ、仕事だし、その、妬いたりとかじゃ…」

「……ねぇ、みのりさん」

尊の低いトーンの声。

なんか、怒ってるかな?

変なこと言わなきゃよかった。

「みのりさんは、俺が他の女抱いても平気?」

「そ、それは…」

あんまり平気じゃない。と思う。

でも、仕事ならしょうがないかも知れんし。


尊は、はぁー、っと長めのため息をついた。

「みのりさん、俺を誰だと思ってるの?」 

誰、って。

職業がホスト、の、水原尊さん。やろ。

「あのね、みのりさん」

「…はい」

「身体使わなきゃ客とれない様な三流と、俺を一緒にしないでよ」

「はぁ」

「昔はそう言う営業した事あるけど、今はしないよ」

ふ、ふうん???

そう言うもんなん?

尊は、身体を起こしてあたしのおでこに自分のおでこくっつける。

「俺はもうみのりさん以外とはしないし、したくない」

凄く真剣な瞳で、言った。

「みのりさんも、他の男としちゃダメだよ?みのりさんがイク顔なんか、他の男に見せたら許さないから」

そ、そんな事。

「しないよ」

「みのりさんは俺のなんだから」

「…うん」

尊はにっこり笑った。

「そんな事言うなんて、やっぱみのりさん、可愛い」

あたしの頬にキスする。

「ホント可愛い。ここに鎖で繋いでおきたいくらい。俺だけしか見えない様にしときたい」

を、をい、眼がマジになってるって!

「…そこまではしないけど」

は、ははは。

危ないこと言わないでよっ。

「みのりさん、好き。みのりさんは?」

「…好きだよ」

あたしなんかのドコが良いのかわからんけど。

いつの間にか尊の手が、ふともも撫でてる。

手はあたしに侵入してくる。

「あぅんっ」

思わず漏れる声。

「…尊って、元気よね」

少し皮肉っぽく言ったら。

「好きな人とするセックスは、愛を確認する行為なんだよ。みのりさんとなら何回でもできる」

尊はそう言って、あたしをまたてっぺんに飛ばした。 





朝、仕事終わりの尊の電話で目覚める。

『おはよう、みのりさん』

そしてあたしは、尊を迎えに行く。

電話で起きれなかった時は。

『家で待ってるね』

目が覚めると必ず来てるメッセージ。

昼間のあたしたちは抱き合ったりしながら。

尊が仕事に行く時間までそうしてる。

お店は8時から。

でも尊は同伴が多いから、3時か4時くらいには出掛ける。

一緒に尊の家出て、あたしは自分の家に帰って仕事する。

それが最近の生活パターン。

尊は、迎えに来たあたしを見つけると、子供みたいに嬉しそうに笑う。

起きれなくて、後から部屋に行く時も尊は寝ないであたしを待ってる。

あたしが行くと、ほんとに嬉しそうにぎゅっ、あたしを抱き締める。

尊にそうされるとあたしも、嬉しくなる。

尊があたしのこと、好き、って気持ちが。

あたしの中にどんどん流れ込んでくるみたいで。

日曜は、お店は休みだけど、お客さんの付き合いとかで尊はほとんど出掛ける。

だから、普通の恋人同士みたいにデートとかは出来ない。

でも尊が。

「みのりさん、好き」

って言ってくれるから。

優しい笑顔で言ってくれるから。

あたしの中で尊の存在がどんどん大きくなっていく。

あたしは、尊でいっぱいになってく。
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